2025-10-21 結婚式費用と親からの贈与税|知っておきたい非課税制度と節税対策
作成日: 2025年10月21日
結婚式の費用、親からの援助は本当にありがたいものですよね。でも、その受け取り方によっては、思いがけず「贈与税」がかかってしまうことがあるんです。
「お祝いなのに税金?」と驚かれるかもしれません。ご安心ください。本記事では、贈与税の基本から、結婚費用に使える非課税制度、そして具体的な手続きまでをわかりやすく解説します。この記事を読めば、安心して親からの援助を受け、賢く結婚準備を進めるための知識が身につきます。
親からの結婚式費用援助、贈与税はかかる?かからない?
「親からの結婚式の援助に税金はかかるの?」これは、結婚を控えたカップルが直面する現実的な疑問です。結論から言うと、答えは「援助の受け取り方による」となります。
高額になりがちな結婚費用。親御さんが「助けてあげたい」と思うのは自然なことで、実際に援助を受けるカップルはたくさんいます。しかし、そのお金の「渡し方」を少し間違えるだけで、思わぬ贈与税が発生する可能性があるため注意が必要です。
とはいえ、法律は親子間の助け合いをすべて課税対象にしているわけではありません。大切なポイントは、その援助が「社会通念上相当と認められる範囲」であるか、そして「誰に」「どうやって」渡されたかということです。
親からの結婚式費用援助 贈与税がかかるケース・かからないケース早見表
親からの援助に贈与税が課税されるかどうかの基本的なパターンをまとめました。ご自身の状況がどちらに当てはまるか、まずここで確認しましょう。
| 援助の状況 | 贈与税の課税有無 | ポイント |
|---|---|---|
| 親が結婚式場や業者に費用を直接支払った | かからない | 「扶養義務の範囲」と見なされるため、原則として贈与にはなりません。一番シンプルで確実な方法です。 |
| 現金や振込で援助を受け、年間合計が110万円以下だった | かからない | 贈与税の基礎控除額(年間110万円)の範囲内なので、申告も不要です。 |
| 現金や振込で援助を受け、年間合計が110万円を超えた | かかる | 110万円を超えた部分が課税対象となります。新郎新婦それぞれが受け取った金額で判断します。 |
| 結婚式費用以外の目的でもらったお金を支払いに充てた(年間110万円超) | かかる | お金の使い道に関わらず、個人への「贈与」とみなされます。例えば「生活費の足しに」ともらったお金も対象です。 |
ご自身のケースがどちらに近いか、イメージは掴めましたか?それぞれのケースについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
贈与税がかからない代表的なケース
贈与税の心配をせずに援助を受ける方法は、大きく分けて2つあります。
1つ目は、年間110万円という非課税の枠、いわゆる「基礎控除」を利用する方法です。これは誰からいくらもらっても、1年間の合計が110万円までなら税金はかからず、申告も必要ないという制度です。
そして、もう1つが、よりシンプルで多くの方が実際に使っている方法です。
それは、親御さんに結婚式場やドレスショップといった業者へ、必要な費用を直接支払ってもらうというやり方です。この場合、お金は新郎新婦の手元を経由せず、サービスを提供した会社へ直接渡ります。
これは税法上、「扶養義務者(親)から生活や教育に充てるためにその都度贈与された財産で、通常必要と認められるもの」とみなされ、贈与税の対象外となります。この考え方は、国税庁のウェブサイトにも明記されています。
具体例:
ご両親が結婚式場に200万円の費用を直接振り込んでくれたとします。この場合、金額が110万円を超えていますが、お子さんへの直接の贈与とは見なされないため、原則として贈与税はかかりません。
贈与税がかかる可能性のあるケース
一方で、注意が必要なのは、親御さんから現金や預金振込で結婚資金を受け取る場合です。
この方法は、お子さんが自分たちの裁量で自由にお金を使える状態になるため、税法上は「贈与」と判断されやすくなります。
そして、受け取った金額が、その年の1月1日から12月31日までの1年間で合計110万円を超えてしまうと、超えた部分に対して贈与税がかかります。
具体例:
お父様から100万円、お母様から100万円の援助を現金で受け取ったとしましょう。この場合、あなたが受け取った合計金額は200万円になります。ここから基礎控除の110万円を差し引いた、残りの90万円が贈与税の課税対象となるわけです。
贈与税のルールは少し複雑に感じるかもしれませんが、基本的なポイントさえ押さえれば過度に恐れる必要はありません。もし手続きに不安を感じるなら、税理士のような専門家に一度相談してみるのも良いでしょう。
贈与税のキホン!「暦年課税」と「基礎控除」をサクッと理解しよう
結婚式の費用を親から援助してもらうとき、まず知っておきたいのが贈与税の基本的な仕組みです。贈与税の計算で最も一般的なのが「暦年課税(れきねんかぜい)」という考え方です。
これは、毎年1月1日から12月31日までの1年間に、個人からもらった財産の合計額に対して税金がかかる、というシンプルなルール。誰がくれたかではなく、「もらった人」を基準に計算するのがポイントです。
ありがたい非課税枠「基礎控除」とは?
この暦年課税には、誰もが使える年間110万円の非課税枠、「基礎控除」が用意されています。
簡単に言えば、「1年間にもらった財産の合計が110万円までなら、贈与税はゼロ。税務署への申告も不要です」という制度です。このおかげで、少額のお祝い金などで贈与税を心配する必要はほとんどありません。
【注意】贈与税は「もらった人」が基準です
例えば、お父さんから100万円、お母さんから100万円の援助を受けたとします。この場合、あなたが受け取った合計は200万円です。基礎控除の110万円を超えているため、税金の申告が必要になります。「あげた人」ごとではない点に注意しましょう。
ちなみに、2023年の調査によると、結婚式・披露宴にかかる費用の全国平均は約358万円。これだけ大きなお金を親に援助してもらうなら、この110万円という数字は絶対に意識しておきたい最初のステップです。
110万円を超えたら、税金はいくら?計算は意外と簡単
もし1年間にもらったお金が110万円を超えたら、その超えた部分にだけ贈与税がかかります。計算方法は、次の2ステップです。
- 税金がかかる金額(課税価格)を出す
(1年間にもらった合計額) - (基礎控除110万円) = (課税価格) - 税額を計算する
(課税価格) × (税率) - (控除額) = (贈与税額)
税率は、課税価格が大きくなるほど上がっていく仕組みです。親や祖父母といった直系の家族からの贈与には「特例税率」という、少しだけ有利な税率が適用されます。
計算例:親から300万円の援助を受けた場合
- ステップ1:課税価格を出す
300万円(もらった額) - 110万円(基礎控除) = 190万円(課税価格) - ステップ2:税額を計算する
課税価格が200万円以下の場合、特例税率は10%です(控除額はなし)。
190万円(課税価格) × 10%(税率) = 19万円(贈与税額)
このように、基本的な計算さえ知っておけば、自分の場合にどれくらい税金がかかりそうか、だいたいの見当がつきます。贈与税の詳しい税率や控除額については、国税庁のウェブサイトでいつでも確認できます。
しかし、ご安心ください。これはあくまで基本ルール。実は、結婚資金の贈与には、この110万円の基礎控除とは別に、もっと大きな金額が非課税になる特別な制度が用意されています。
結婚資金で使える贈与税の非課税制度をフル活用しよう
「年間110万円の基礎控除だけでは、結婚費用には足りない…」
まとまったお金が必要な結婚式では、より大きな金額を非課税で援助してもらいたいと考えるのは自然なことです。そんなときにぜひ知っておきたい、とても強力な制度があります。
それが「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」です。
これは「結婚や子育てのためなら、税金がかからない特別な枠を使えます」という国の制度。これを利用すれば、親や祖父母から最大1,000万円までのお金を、贈与税なしで一括で受け取れます。
「結婚・子育て資金贈与の非課税制度」って、どんな仕組み?
この制度は、若い世代の結婚や子育てを国が後押しするために設けられた、期間限定の特別なルールです。具体的には、次の2つの非課税枠が用意されています。
- 結婚に関する費用:最大300万円まで 非課税
- 妊娠・出産・育児の費用:最大1,000万円まで 非課税(結婚費用分も含む)
まず結婚資金として最大300万円まで非課税で援助してもらえます。さらに、将来の出産や育児費用として追加で700万円、合計で1,000万円までが非課税になる、というわけです。
この制度は延長が繰り返され、現在の期限は令和9年(2027年)3月31日までとなっています。
制度を利用するための条件チェックリスト
これだけ有利な制度ですから、利用にはいくつかの条件があります。
- 贈与する人(あげる側):直系の親族(父母、祖父母など)
- 贈与される人(もらう側):18歳以上50歳未満
- 所得要件(もらう側):前年の合計所得金額が1,000万円以下
- 手続きの方法:金融機関で「結婚・子育て資金口座」を開設し、税務署へ「結婚・子育て資金非課税申告書」を提出する
この制度のポイントは、金融機関に専用口座を作り、そこにお金を入金してもらう点です。そして、実際に費用を支払ったら、その都度領収書を金融機関に提出し、「結婚のために使いました」と証明する必要があります。少し手間はかかりますが、大きな節税効果が期待できます。
国税庁のウェブサイトでも、対象となる費用について詳しく解説されています。例えば、挙式費用や新居の家賃はOKですが、婚約指輪や新婚旅行の費用は対象外なので注意が必要です。
具体的にどんな費用が非課税になるの?
「結婚関連費用」として認められる代表的なものをリストアップしました。
- 婚礼(結婚式)にかかる費用
- 挙式や披露宴の会場費
- ウェディングドレスなどの衣装代
- 引き出物代 など
- ※入籍日の1年前以降に支払ったものに限られます
- 新居の住まいにかかる費用
- 新しい住居の敷金、礼金
- 家賃(3年分までが目安)
- 仲介手数料 など
- 引っ越しにかかる費用
- 引越し業者に支払う料金
ただし、一度この制度で資金を受け取ると、原則として50歳になるまで資金を自由に使えないなどの制約もあります。「手続きが複雑そう」「自分たちに最適な方法か分からない」と迷ったら、税金の専門家である税理士に相談するのが確実です。
まとまった支援なら「相続時精算課税制度」も視野に入れてみよう
「結婚・子育て資金の一括贈与」は手続きが面倒そう…と感じる方のために、もう一つの選択肢があります。それが「相続時精算課税制度」です。
この制度の最大の魅力は、最大2,500万円という非常に大きな特別控除枠です。暦年贈与とは別に、一度に大きな金額を非課税で受け取れる可能性があります。
贈与税を「先送り」するという考え方
この制度は、「贈与されたときの税金は一旦ゼロ(または低く)して、将来、親が亡くなったときに、その分を相続財産に足し戻して相続税としてまとめて計算しましょう」という仕組みです。
つまり、贈与税の支払いを、将来の相続時まで「先送り」するイメージです。
この制度は、原則として60歳以上の親や祖父母から、18歳以上の子や孫へ贈与する場合に利用できます。ただし、一度この制度を選ぶと、その親からの贈与はずっとこの制度が適用され、もう暦年課税(年間110万円の基礎控除)には戻れない、という重要なルールがありました。
しかし、2024年1月1日から制度が改正され、この2,500万円の特別控除とは別に、新たに年間110万円の基礎控除が創設されました。これにより、毎年110万円以下の贈与であれば、相続財産に加算されず、申告も不要となり、使い勝手が向上しました。
2,500万円を超えた部分には一律で20%の贈与税がかかりますが、ここで払った贈与税は将来の相続税から差し引かれます。詳しい内容は、国税庁のウェブサイトでも確認できます。
メリットとデメリットをしっかり比較しよう
便利な制度ですが、ご家庭の状況によってはデメリットが上回ることも。利用を考えるなら、良い面と注意点を両方知っておくことが大切です。
メリット
- まとまったお金を一度に非課税で受け取れる:結婚費用や新居の頭金など、今まさに大きなお金が必要なときに助かります。
- 将来値上がりしそうな財産をもらうときに有利:株など、将来価値が上がるかもしれない財産は、贈与した「今」の価値で計算されるため、相続税対策として効果的です。
デメリット
- 一度選んだら暦年課税には戻れない:その親からの贈与について、暦年課税制度に戻すことはできません。
- 相続のときに申告が必要になる場合がある:この制度を使って贈与を受けた財産は、相続時に相続財産に加算して相続税を計算するため、申告手続きが必要になる可能性があります。
この制度は、将来的に相続税がかかることが確実で、かつ「今」まとまったお金が必要な場合に特に力を発揮します。
どちらの制度を選ぶかは、ご家族の資産状況やライフプランによって最適な答えが変わります。税理士のような専門家に相談することを強くおすすめします。
贈与税の申告、どうすればいい?手続きと流れを解説
「もし贈与税の申告が必要になったら、手続きが難しそう…」と不安に思うかもしれません。ご安心ください。流れを理解すれば、決して複雑ではありません。
まず、その年の1月1日から12月31日までの1年間に、親などから受け取った援助の合計額が110万円を超えた場合に申告が必要になります。
見落としがちなのが、結婚式費用以外の援助です。例えば、婚約指輪や結納、両家の顔合わせ食事会の費用も、親が援助してくれたなら「贈与」にあたる可能性があります。ある調査では、婚約指輪に平均24.2万円、顔合わせに6.7万円かかっているというデータも。これらを現金で受け取ると、他の援助とあわせて110万円の基礎控除をあっさり超えてしまう可能性も十分あります。
贈与税申告の基本ステップ
贈与税の申告は、決められた期間内に、必要な書類をそろえて税務署に提出するという流れです。次の3つのポイントを押さえておきましょう。
- いつ?(申告期間)
贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までが申告と納税の期間です。期間を過ぎるとペナルティがかかることもあるので注意しましょう。 - どこへ?(提出先)
申告書は、あなたの住所地を管轄する税務署に提出します。 - どうやって?(提出方法)
税務署の窓口への持参、郵送、そして自宅からオンラインで完結できる国税電子申告・納税システム「e-Tax」のいずれかを利用します。
申告に必要な書類はこれだけ!チェックリスト
実際に準備する書類は、意外とシンプルです。
- 贈与税の申告書
国税庁のホームページからダウンロードするか、税務署で入手できます。 - 本人確認書類(マイナンバーカードなど)
マイナンバーカードがあれば1枚でOKです。ない場合は、マイナンバーが分かる書類(通知カードなど)と、身元確認書類(運転免許証など)の2点が必要です。 - 財産の価額を証明する書類(必要な場合のみ)
不動産や株式などを贈与された場合に必要です。結婚費用のような現金や預金の援助であれば、基本的には不要です。
手続きをもっと簡単にするポイント
国税庁のウェブサイトにある「確定申告書等作成コーナー」が非常に便利です。画面の案内に従って金額などを入力するだけで、税額が自動計算され、申告書が簡単に完成します。
とはいえ、「本当にこれで合っているのかな?」と少しでも不安に感じたら、税理士のような専門家に相談するのが一番の近道です。
結婚式費用の贈与、みんなが気になるQ&A
結婚式の費用を親から援助してもらうとなると、贈与税に関する細かな疑問も次々に出てくるものです。ここでは、多くの方が疑問に思うポイントをQ&A形式でわかりやすく解説します。
Q1. 新郎の親と新婦の親、それぞれから110万円ずつもらえば非課税になりますか?
これは、残念ながらよくある勘違いです。贈与税のルールは「誰があげたか」ではなく「誰がもらったか」を基準に考えます。
例えば、新婦さんがご自身の父親から110万円、母親からも110万円の援助を現金で受け取ったとします。この場合、新婦さんが1年間にもらったお金の合計は220万円になります。
ここから基礎控除額の110万円を引いた、残りの110万円が贈与税の課税対象となります。「両親それぞれからだから大丈夫」というわけではないので、注意しましょう。
Q2. ゲストからいただくご祝儀も贈与税の対象になりますか?
ご安心ください。友人や会社の同僚、親戚などからいただくご祝儀は、社会通念上相当と認められる範囲内のものであれば贈与税の対象にはなりません。
お祝いの気持ちとしてやり取りされるものにまで、税金がかかることは基本的にはないと考えて大丈夫です。ただし、特定の一人から明らかに高額な(例えば数百万円といった)ご祝儀を受け取った場合は、贈与と見なされ課税される可能性があります。
Q3. 親に結婚式場へ直接お金を支払ってもらったら、贈与になりますか?
この方法が最もシンプルで確実な非課税のやり方です。親御さんが結婚式場やドレスショップなどに直接費用を支払ってくれた場合、それは原則としてお子さんへの「贈与」とは見なされず、贈与税はかかりません。
これは、扶養義務のある親が、子どものために必要な費用をその都度支払っている、という扱いになるためです。例えば、沖縄での挙式費用は100万円から200万円台が中心というデータもありますが、こういったまとまった費用も親御さんが直接支払う形をとれば、基礎控除の110万円を気にすることなく援助してもらえます。
注意点
親が支払ってくれたお金が元手となり、お子さんが株式や投資信託などを購入した場合は、実質的な贈与と判断される可能性があります。あくまで「結婚式のため」に「直接支払ってもらう」のが重要なポイントです。
結婚式費用と贈与税の話は、ご家庭の状況によってさまざまです。もし少しでも不安な点があったり、ご自身のケースでどうするのが最適か迷ったりしたときは、税金のプロである税理士に相談してみるのが一番の近道です。
本記事は2025年10月21日時点の情報に基づいて作成されています。税制や法律は改正される可能性があるため、実際の判断にあたっては最新の情報を確認するか、税理士などの専門家にご相談ください。本記事の内容によって生じた損害について、当方は一切の責任を負いかねます。