2025-10-25 年末調整の書き方完全ガイド|初心者でもわかりやすい!書類の記入例つき
作成日: 2025年10月25日
年末調整の書類、毎年向き合うたびに「書き方がわからない…」と悩んでいませんか?年末調整とは、簡単に言うと1年間に払いすぎた所得税を取り戻すための大切な手続きです。毎月の給与から天引きされている所得税はあくまで概算額。生命保険料などの支払いを正しく申告すれば、税金が還付される可能性があります。
この手続きは少し複雑に見えるかもしれませんが、ポイントさえ押さえれば大丈夫です。この記事では、具体的な記入例を交えながら、初心者の方でも迷わず書類を完成させられるよう、わかりやすく解説します。
年末調整はなぜ重要?知っておきたい基本のキ
「年末調整」と聞くと、「面倒な作業」というイメージが先行しがちです。しかし、その仕組みを理解すれば、会社員にとって見逃せない節税のチャンスであることがわかります。
払いすぎた所得税を取り戻す仕組み
毎月の給与から天引きされている所得税(源泉徴収税)は、年間の収入が確定する前の「仮の金額」です。そのため、1年間の総収入が確定した年末に、本来納めるべきだった正確な税額との差額を精算する必要があります。これが年末調整の役割です。
- 払いすぎていた場合:差額が「還付金」として戻ってきます。
- 足りなかった場合:不足分が12月または1月の給与から追加で徴収されます。
生命保険料を支払っていたり、家族を扶養していたりする場合、税金の負担が軽くなる「所得控除」が適用されます。これにより、多くの場合で税金を払いすぎている状態になるため、年末調整で還付金を受け取れるケースが一般的です。
確定申告との違いは?
年末調整と確定申告は、どちらも所得税を精算する手続きですが、対象者と方法が異なります。基本的に、給与所得のみの会社員であれば、会社が年末調整を行ってくれるため、自分で確定申告をする必要はありません。
年末調整は、会社が従業員に代わって所得税の計算と納税手続きを行ってくれる制度です。この制度があるおかげで、多くの会社員は税務署へ行く手間が省けています。制度の詳細は、国税庁の「年末調整のしかた」でも確認できます。
ただし、年間の医療費が高額になった(医療費控除)場合や、副業による所得が20万円を超えた場合などは、個人で確定申告が必要です。
もし「このケースは年末調整だけでいいのだろうか」「書き方が合っているか不安」と感じた場合は、税理士などの専門家に相談するのが確実です。P4 MARKETでは、税務の専門家に30分単位で気軽にオンライン相談が可能です。
【ステップ1】書き始める前の準備リスト
年末調整の書類作成は、事前の「下準備」がスムーズに進めるための鍵です。まずは、必要な書類がすべて手元に揃っているか確認しましょう。
会社から受け取る3つの申告書
まず、勤務先から配布される以下の書類です。これらが年末調整の基本となります。
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
- 給与所得者の保険料控除申告書
- 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
毎年10月下旬から11月頃に配布されることが多いです。受け取ったらすぐにファイルなどに保管し、紛失しないようにしましょう。
自分で集める「控除証明書」
次に、所得控除を受けるために自分で用意する必要がある書類です。これらは保険会社などから郵送で届くため、誤って捨ててしまわないよう注意が必要です。
控除証明書とは?
「あなたが支払ったこの保険料は、税金の控除対象になります」ということを証明する公式な書類です。万が一紛失した場合は、速やかに発行元へ連絡し、再発行を依頼しましょう。
以下の証明書が届いているか確認してください。
- 生命保険料控除証明書:加入している生命保険会社から10月中旬〜11月上旬頃に届きます。
- 地震保険料控除証明書:損害保険会社から10月頃に届きます。
- iDeCoの掛金払込証明書:国民年金基金連合会から10月下旬以降に届きます。
- 国民年金保険料控除証明書:日本年金機構から11月上旬に届きます(国民年金を自分で納付している場合)。
国税庁の調査によると、令和5年分の年末調整の対象となった給与所得者は約4,635万人にのぼります(出典:国税庁 申告所得税標本調査)。これだけ多くの人が行う手続きだからこそ、一人ひとりが正確に書類を作成することが、会社全体の業務効率化にも繋がります。
どの証明書が必要か判断に迷う場合は、P4 MARKETで税理士に相談してみるのも良いでしょう。
【ステップ2】保険料控除申告書の具体的な書き方
「給与所得者の保険料控除申告書」は、年末調整で最も記入が複雑な書類の一つです。しかし、手元に「控除証明書」を用意し、項目ごとに確認していけば、決して難しくありません。
この申告書は、主に以下の4つの控除に関する内容を記入します。
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
一つずつ、書き方を解説します。
生命保険料控除の書き方
多くの方がつまずきやすいのが、この生命保険料控除の欄です。まず、保険会社から届いた「控除証明書」を用意してください。
証明書には、「新制度」か「旧制度」か、そして保険の種類(一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料)が記載されています。申告書の対応する欄に、保険会社名、保険の種類、契約者名などを転記し、証明書に記載された「申告額」を書き写します。
注意点:転記するのは「申告額」
実際に支払った金額ではなく、控除証明書に記載されている「申告額」や「証明額」という名称の金額を転記してください。
金額を書き写したら、申告書の右側にある計算式に当てはめて控除額を計算します。例えば、新制度の一般生命保険料の年間支払額が50,000円の場合、計算式 (A) × 1/2 + 10,000 に当てはめ、控除額は35,000円となります。
地震保険料と社会保険料の書き方
地震保険料控除の欄も、生命保険料と同様に控除証明書の内容を転記します。保険会社名と支払保険料を記入し、控除額(最高50,000円)を計算します。
社会保険料控除については、給与から天引きされている健康保険料や厚生年金保険料は会社が把握しているため、記入は不要です。ご自身で国民年金や国民健康保険の保険料を納付している場合のみ、日本年金機構などから送付される控除証明書の金額を転記してください。
iDeCo(イデコ)などの掛金の書き方
個人型確定拠出年金(iDeCo)や小規模企業共済に加入している場合、その掛金は「小規模企業共済等掛金控除」の欄に記入します。この控除は、支払った掛金の全額が所得から控除されるため、節税効果が非常に高いのが特徴です。
国民年金基金連合会から届く「小規模企業共済等掛金払込証明書」に記載された合計額を記入してください。
すべての項目を記入したら、各控除額の合計を計算し、一番下の「計」の欄に書けば完成です。
【ステップ3】基礎控除・配偶者控除等の申告書の書き方
「給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」は、名前が長いですが、自分に関係する部分だけを記入すれば問題ありません。3つのパートに分けて見ていきましょう。
① 基礎控除申告書(原則、全員が記入)
用紙の左側は、給与所得者であれば誰もが記入する「基礎控除申告書」です。
- ご自身のその年の「給与の収入金額」(年収の見込み額)を記入します。
- 申告書内の表を参考に、収入金額から「給与所得」の金額を計算して記入します。
- 給与所得以外の所得がなければ、その金額を「合計所得金額の見積額」の欄に転記します。
合計所得金額が2,400万円以下であれば、ほとんどの方が48万円の基礎控除を受けられます。該当する控除額の欄にチェックを入れ、金額を記入すれば完了です。
② 配偶者控除等申告書(配偶者がいる場合に記入)
中央のエリアは、配偶者がいる方が対象です。配偶者の所得に応じて「配偶者控除」または「配偶者特別控除」が受けられるかを判断します。
ポイントは配偶者の所得額です。いわゆる「103万円の壁」とは、配偶者の給与収入が年間103万円(所得48万円)以下の場合に配偶者控除の対象となることを指します。
103万円を超えても、年収が201万6千円未満であれば、配偶者特別控除が適用される可能性があります。配偶者の所得の見積額を計算し、申告書の判定表に沿って、受けられる控除額を確認・記入します。
近年の賃上げや物価高は、パート収入の調整にも影響を与えています。控除の適用は家計に直結するため、正確な申告が重要です(参考:日本の労働統計や経済動向)。
③ 所得金額調整控除申告書(特定の条件に当てはまる場合に記入)
右側の「所得金額調整控除申告書」は、該当者のみが記入します。ご自身の年収が850万円を超えており、かつ、以下のいずれかに当てはまる場合に記入が必要です。
- 本人が特別障害者である
- 同一生計配偶者または扶養親族が特別障害者である
- 23歳未満の扶養親族がいる
該当する場合は、要件欄にチェックを入れ、対象家族の氏名などを記入します。申告漏れは税負担の増加に繋がるため、忘れずに確認しましょう。
これらの申告書で記入に迷った際は、会社の担当部署に確認するか、税理士のような専門家に相談することをおすすめします。
【ステップ4】提出前の最終チェックリスト
書類を書き終えたら、提出前に最終確認をしましょう。ささいなミスで差し戻しになると、手間が増えてしまいます。特に注意したい、よくある間違いをまとめました。
年末調整でありがちな3つのミス
1. 保険料控除の計算間違い
特に「新制度」と「旧制度」が混在している場合、計算が複雑になりがちです。控除証明書の「申告額」を正しく転記できているか、合計額の計算は合っているか、電卓で再確認しましょう。
2. 控除証明書の添付漏れ
保険料控除などを受けるには、証明書の原本添付が必須です。記入が完璧でも、証明書がなければ控除は認められません。申告書にホチキスで留めるなど、忘れない工夫をしましょう。
3. 扶養親族の所得超過
「扶養に入れている子供のアルバイト収入が、いつの間にか103万円を超えていた」というケースは少なくありません。配偶者や親族のその年の所得が、控除の条件を満たしているか、事前に本人に確認しておくと確実です。
ある調査では、年末調整を担当する企業の担当者の約85%が業務に大きな負担を感じており、特に「書類の不備チェック」が大変だと回答しています(参考:freee株式会社の年末調整に関する調査)。一人ひとりが正確な書類を提出することが、経理担当者の負担軽減にも繋がります。
提出前のセルフチェックリスト
- 氏名、住所、マイナンバーは正しく記入したか?
- 押印(または署名)は済ませたか?
- 生命保険料や地震保険料の控除証明書はすべて添付したか?
- 証明書の「申告額」を正しく転記できているか?
- 扶養家族の所得は、控除の条件を満たしているか?
少しでも不安な点があれば、P4 MARKETのようなサービスで専門家に相談するのも有効な手段です。プロの視点で確認してもらうことで、安心して書類を提出できます。
年末調整のよくある質問(Q&A)
最後に、年末調整に関して多くの方が疑問に思う点をQ&A形式で解説します。
Q1. 年の途中で転職した場合、年末調整はどうなりますか?
A. 現在の勤務先で、前職の分も合算して年末調整を行います。その際、前職の会社から受け取った「源泉徴収票」が必ず必要になります。現在の勤務先の担当部署に忘れずに提出してください。もし紛失した場合は、前職の会社に連絡して再発行を依頼しましょう。
Q2. 医療費がたくさんかかりました。年末調整で申告できますか?
A. 医療費控除は年末調整では手続きできません。医療費控除を受けるには、ご自身で確定申告を行う必要があります。その際に、年末調整が完了した後に会社から交付される「源泉徴収票」が必要となるため、大切に保管しておいてください。医療費控除の詳細は、国税庁のウェブサイトタックスアンサー No.1120で確認できます。
Q3. パートをしている配偶者の収入が103万円を超えそうです。扶養から外れますか?
A. 配偶者の年間の合計所得が48万円(給与収入のみなら103万円)を超えると、税法上の扶養(控除対象配偶者)からは外れます。ただし、収入額によっては「配偶者特別控除」を受けられる可能性があります。年末調整の書類を作成する前に、ご家族の収入の見込み額を正確に確認しておくことが重要です。
年末調整は、年に一度の重要な手続きです。もし「自分のケースは複雑で判断できない」「この書き方で本当に正しいのか」と悩んだら、専門家である税理士に相談するのが最も確実で安心な方法です。
実際に専門家に相談するには
P4 MARKETでは、経験豊富な税理士に30分単位で気軽にオンライン相談ができます。
「書類の最終チェックをしてほしい」「自分に適用される控除が他にないか知りたい」といった具体的な要望にも、専門家が的確にアドバイスします。
専門家の力を活用して、年末調整をスムーズに乗り切りましょう。
本記事は2025年10月25日時点の情報に基づいて作成されています。税制や法律は改正される可能性があるため、実際の判断にあたっては最新の情報を確認するか、税理士などの専門家にご相談ください。本記事の内容によって生じた損害について、当方は一切の責任を負いかねます。