2025-11-01 確定申告は税理士に依頼すべき?メリット・費用相場・選び方をわかりやすく解説
作成日: 2025年11月1日
毎年やってくる確定申告のシーズン。「今年も自分でなんとかしようか、それとも専門家の税理士にお願いしようか…」と頭を悩ませている個人事業主やフリーランスの方は、きっと少なくないはずです。
税理士に確定申告を頼む一番のメリットは、なんといっても「正確な申告による安心感」と、「専門知識を活かした節税」の二つでしょう。
この記事では、複雑な税金のルールをわかりやすく解きほぐし、あなたが「税理士に依頼すべきか」を判断するための具体的な情報を提供します。
確定申告、税理士に頼むべき?その判断基準をプロが解説
毎年2月16日から3月15日は、多くの事業者にとって気が重い時期ですよね。最近は会計ソフトも進化して、昔に比べれば自分で申告するハードルは下がりました。とはいえ、毎年変わる複雑な税金のルールを完璧に理解して、ミスなく申告するのは至難の業です。
ちなみに、令和5年分の確定申告をした人は約2,339万人。そのうち納税額があった人は679万人で、納税額の合計は4兆円を超える巨大なスケールです。これだけ多くの人が、複雑な手続きに取り組んでいるわけですね。より詳しい状況は、国税庁が公表した最新データで確認できます。
こんな状況なら、税理士への依頼を考えてみては?
では、具体的にどんなタイミングで税理士への依頼を検討すれば良いのでしょうか。「売上がいくらになったら」という明確な線引きはありませんが、もし次のような状況に当てはまるなら、専門家の力を借りるメリットがぐっと大きくなります。
- 事業の売上がグンと伸びてきた
売上が増えれば、当然ながら取引の数も増えて経理は複雑になります。特に、年間の売上が1,000万円を超えると消費税の納税義務が発生し、申告の難易度は一気に跳ね上がります。 - 収入源が複数ある
本業の収入だけでなく、不動産からの家賃収入や、株の売却益など、収入のポケットが複数あると計算は一気に複雑に。所得の種類によって計算ルールや使える控除も違うため、専門知識が欠かせません。 - もっと賢く節税したい
税理士は税金のプロ。最新の税制をフル活用した節税策を知り尽くしています。自分では気づかなかった控除の適用や、経費にできるものの的確なアドバイスで、手元に残るお金を最大化できる可能性があります。 - 確定申告に時間を取られず、本業に集中したい
レシートの整理、帳簿付け、申告書の作成…確定申告には膨大な時間がかかります。この手間のかかる作業を専門家に任せれば、その時間をもっと売上を上げるための本業に集中して使えます。
税理士への依頼は、単なる「作業の丸投げ」ではありません。むしろ、「時間」と「安心感」、そして「将来の事業成長」を手に入れるための投資と考えるのがしっくりくるかもしれません。費用はかかりますが、それ以上のリターンが期待できるのです。
もし、一つでも「あ、自分のことだ」と感じたら、一度税理士に話を聞いてみることをおすすめします。プロの視点からのアドバイスが、あなたのビジネスを次のステージへ押し上げるきっかけになるかもしれません。
自分でやる?税理士に頼む?メリット・デメリットを比較
確定申告の方法を「自分で行う」「税理士に依頼する」で比較し、それぞれのメリット・デメリットを整理します。
| 比較項目 | 自分で申告する場合 | 税理士に依頼する場合 |
|---|---|---|
| 費用 | ◎ 会計ソフト代程度で済む |
△ 依頼費用がかかる |
| 正確性 | △ ミスや漏れのリスクがある |
◎ 専門家による正確な申告 |
| 節税効果 | △ 知識不足で損をする可能性 |
◎ 専門的な節税アドバイスを受けられる |
| 時間・手間 | × 膨大な時間がかかる |
◎ 本業に集中できる |
| 税務調査 | △ すべて自分で対応する必要がある |
◎ 代理で対応してくれる |
このように、費用面では自分で申告する方に軍配が上がりますが、時間や正確性、節税といった面では税理士に依頼するメリットが非常に大きいことがわかります。どちらが自分に合っているか、じっくり検討してみてください。
税理士に頼むと、どんないいことがあるの?4つの大きなメリット
確定申告を税理士に頼むというと、「面倒な作業を代わりにやってもらうだけ」と思っていませんか?実はそれだけじゃないんです。事業主やフリーランスの方が安心して本業に打ち込み、経済的にもプラスになるような、もっと大きな価値が隠されています。
ここでは、専門家にお願いすることで得られる4つの重要なメリットを、一つひとつ掘り下げて見ていきましょう。
1. 「うっかりミス」が招く追徴課税のリスクをなくせる
確定申告で一番怖いのは、計算ミスや勘違いによる申告漏れ。もし税務署から間違いを指摘されると、本来の税金に加えて過少申告加算税や延滞税といった、いわばペナルティが課されてしまいます。
その点、税理士は税法のプロ。複雑な法律やルールを正確に理解しています。例えば、「この出費は経費として認められる?」といった判断が難しいグレーゾーンについても、過去の事例や実務経験から的確なアドバイスをしてくれます。
専門家の目を通した申告書は、信頼性がぐっと高まります。これにより、後から追加で税金を払うことになるリスクを限りなくゼロに近づけ、「これで大丈夫かな…」という精神的な不安からも解放されるのです。
2. 知らないと損する「節税」のテクニックを教えてもらえる
税金のルールは毎年のように変わり、新しい控除が生まれたり、制度の条件が変わったりします。この最新情報を一人で追いかけ、自分にとって一番お得な方法を見つけ出すのは、正直かなり大変です。
税理士は、常に最新の税制にアンテナを張っています。そして、あなたの事業や家族の状況に合わせて、オーダーメイドの節税策を提案してくれます。
- もったいない「控除漏れ」を防ぐ
iDeCoや小規模企業共済など、将来の資産形成にもつながる節税策を、あなたの状況に合わせて教えてくれます。 - 青色申告の特典を最大限に活かす
最大65万円の控除を受けるには、e-Taxでの申告などいくつかの条件があります。この条件をクリアするための具体的な手順をサポートしてくれるので安心です。(詳細は国税庁のウェブサイトでも確認できます) - 最適な「減価償却」を選ぶ
高価な設備などを買ったとき、その費用を数年に分けて経費にする「減価償却」。この方法一つで、その年の納税額は大きく変わります。税理士は、会社のキャッシュフローまで考えて最適な方法を一緒に考えてくれます。
自分で申告した場合の納税額と、税理士に頼んで節税した後の納税額を比べてみてください。税理士への報酬を支払っても、手元に残るお金が増えるケースは決して珍しくありません。これは、税理士への依頼が単なる「コスト」ではなく、将来のための賢い「投資」であることの何よりの証拠です。
3. 面倒な作業から解放されて、本業に集中できる
領収書の山を整理し、帳簿に入力し、申告書を作成する…。確定申告には膨大な時間がかかります。ただでさえ忙しいのに、本業の時間を削って作業するのは大きな負担ですよね。
こうした煩雑な作業をまるごと専門家に任せることで、あなたは貴重な「時間」という資産を手に入れることができます。その時間で新しいサービスを考えたり、お客様と向き合ったりと、本当にやるべきことに集中できる。これこそが、一番のメリットかもしれません。
4. 「税務調査」が来ても慌てない、という安心感
「いつか税務調査が来るかも…」という漠然とした不安は、多くの事業主が抱えるストレスの一つです。万が一、税務調査の連絡が来ても、一人で対応するのは精神的にも時間的にも本当に大変です。
税理士と契約していれば、税務調査の連絡があった際に「代理人」として対応を任せられます。税務署とのやり取りから調査当日の立ち会いまで、専門家が「盾」となってくれる安心感は計り知れません。日頃からプロのチェックを受けているという事実は、調査をスムーズに進める上でも大きな力になります。
税理士の費用相場と料金が決まる仕組み
税理士への依頼を考えたとき、多くの方が一番気になるのが「一体いくらかかるのか?」という費用面ではないでしょうか。専門家に頼む価値はわかっていても、具体的な金額が見えないと、なかなか一歩踏み出せないものですよね。
税理士の料金体系は、大きく分けて2種類あります。ひとつは、毎月の経理チェックや経営相談まで含んだ顧問契約。もうひとつが、年に一度の確定申告だけをお願いするスポット契約です。
個人事業主の方や、副業で収入を得ている会社員の方が初めて税理士に頼む場合は、このスポット契約からスタートすることがほとんどです。
依頼内容で費用はガラッと変わる
スポット契約の料金は、事業の規模や所得の種類、そして「どこまでの作業を任せるか」によって大きく変わってきます。
まずは、依頼する人の状況別に、どれくらいの費用がかかるのか、大まかな目安を見ていきましょう。
状況別に見る税理士費用の相場一覧(スポット依頼)
確定申告だけを単発でお願いする場合、ご自身の事業規模や所得の種類によって費用が変動します。以下の表は、あくまで一般的な目安として参考にしてみてください。
| 依頼者の状況 | 主な依頼内容 | 費用相場の目安 |
|---|---|---|
| 白色申告の個人事業主 | 確定申告書の作成・提出代行 | 5万円〜10万円 |
| 青色申告の個人事業主 (売上1,000万円未満) |
記帳代行、確定申告書の作成・提出代行 | 10万円〜20万円 |
| 青色申告の個人事業主 (売上1,000万円以上) |
記帳代行、消費税申告、確定申告書の作成・提出代行 | 15万円〜30万円 |
| 副業収入がある会社員 (事業・不動産所得など) |
確定申告書の作成・提出代行 | 5万円〜15万円 |
| 不動産所得がある方 | 不動産所得の計算、確定申告書の作成・提出代行 | 7万円〜20万円 |
| 株式・FX等の譲渡所得がある方 | 譲渡所得の計算、確定申告書の作成・提出代行 | 5万円〜15万円 |
もちろん、これは基本的なケースです。例えば、事業所得と不動産所得の両方があったり、海外との取引があったりすると、作業が複雑になるため料金はもう少し上乗せされることが多いです。
料金を決めている具体的な要素
では、なぜこんなにも料金に幅があるのでしょうか。税理士が見積もりを出すとき、主に次のようなポイントを見ています。
- 売上規模
シンプルに、売上が大きいほど取引の数が増え、チェックすべき項目も多くなります。そのため、料金も高くなるのが一般的です。 - 仕訳数
「仕訳」とは、ひとつひとつの取引を帳簿につける作業のこと。領収書や請求書の枚数が多ければ、それだけ手間がかかるので費用に反映されます。 - 記帳代行の有無
ご自身で会計ソフトに入力まで済ませているか、それとも領収書の束をそのまま「丸投げ」するかで、税理士の手間は天と地ほど違います。記帳代行をお願いすれば、その分の料金が加算されます。 - 所得の種類
事業所得だけでなく、不動産所得や株の譲渡所得など、複数の所得があると、それぞれ計算が必要になり申告が複雑になります。これも料金が上がる要因です。
つまり、税理士費用は「作業の複雑さと量」で決まる、ということです。
安さだけで選んでしまうと、実は最低限のサービスしか含まれていなかったり、後から「これは追加料金です」と言われたりすることも。見積もりを取るときは、どこまでの作業が含まれているのか、しっかり確認することが大切です。
費用を賢く抑えるための3つのコツ
そうは言っても、費用はできるだけ抑えたいのが本音ですよね。実は、ちょっとした工夫で負担を軽くすることは可能です。
最近、税理士に確定申告を依頼する費用は値上がり傾向にあります。ある調査では、2024年には前年比で約8%も増加したというデータも。特に、申告期限が迫る2月下旬から3月上旬は駆け込み依頼で料金がピークを迎え、1月の約1.4倍になることもあるそうです。この調査結果についてさらに詳しく知りたい方は、ミツモアが発表した調査結果をご覧ください。
この事実を踏まえると、費用を抑えるには以下のポイントがとても効果的です。
- とにかく早めに相談・依頼する
確定申告の期限ギリギリではなく、年が明けたらすぐ、といった早い段階で相談しましょう。税理士側も余裕をもって仕事ができるので、「特急料金」がかからず、料金交渉にも応じてもらいやすくなります。 - 資料をきちんと整理しておく
領収書や請求書を月別・項目別にファイリングしておくだけで、税理士の作業時間を大幅にカットできます。これがそのまま料金の割引につながるケースも少なくありません。 - 自分でできることはやっておく
一番効果的なのが、会計ソフトへの入力(記帳)を自分で行うことです。日々の取引をこまめに入力する習慣をつけるだけで、税理士費用をぐっと節約できます。
税理士に支払う費用は決して安くはありません。ですが、それ以上に大きな節税効果や「これで安心」という精神的なリターンが期待できます。
事業の成長を助ける税理士選び、5つの「ここだけは外せない」ポイント
確定申告を税理士にお願いしよう!と決めたら、次にぶつかるのが「じゃあ、誰に頼めばいいの?」という大きな壁。実は、税理士選びは単に申告書を作ってもらう作業代行を探すのとはワケが違います。
あなたの事業に深く寄り添い、ときには厳しい視点も持ちながら、共に未来を切り拓いてくれるビジネスパートナーを見つける。そんな視点が欠かせません。
これから長い付き合いになるかもしれない相手です。無料相談などを活用して、じっくりと人柄やスキルを見極めましょう。ここでは、失敗しないための5つのチェックポイントをご紹介します。
1. 自分の業界に「詳しい」か
あなたのビジネスや業界の慣習をどれだけ理解しているか。これは非常に重要です。なぜなら、的確で実践的なアドバイスは、その理解度から生まれるからです。
例えば、IT業界ならソフトウェア開発費の扱い、飲食業界なら複雑な仕入れや人件費の管理など、業界ごとに特有の「勘所」があります。
その道のプロであれば、あなたがこれから直面しそうな課題を先回りして察知し、「こういう節税方法がありますよ」「このタイミングで資金調達を考えましょう」といった具体的な提案をしてくれるはずです。
こんな質問をぶつけてみよう
「先生は、私と同じ〇〇業界のお客さんを担当されたご経験はありますか?もしあれば、どんなサポートをされてきたか、お話しできる範囲で教えていただけますか?」
この一言で、相手の経験値や専門性の深さがある程度見えてきます。具体的な実績を自分の言葉で語れるかどうかは、頼れる専門家を見抜くための大切なヒントになります。
2. 気軽に質問できる「人柄」か
税理士は、あなたのお金という、とてもデリケートな部分を共有する相手。だからこそ、専門用語を並べ立てるのではなく、こちらの素朴な疑問にも根気強く、わかりやすく答えてくれるかどうかが何より大切です。
どんなに腕利きの税理士でも、話しかけにくいオーラが出ていては、気軽に相談できませんよね。「こんな初歩的なことを聞いたら、呆れられるかな…」なんて思ってしまったら、有益なアドバイスをもらうチャンスを逃してしまいます。
- レスポンスの速さ: メールや電話への返信はスピーディーか。
- 説明のわかりやすさ: 難しい専門用語を、身近な例に置き換えてくれるか。
- 聞く姿勢: こちらの話を親身になって、最後まで聞いてくれるか。
最初の相談の段階で、こうした「話しやすさ」を意識して感じ取ってみてください。最終的に、長く付き合えるかどうかは、この相性で決まることも多いのです。
3. 料金体系が「明確」か
前のセクションでも触れましたが、税理士の料金は本当に様々です。ここで一番大切なのは、提示された金額にあなたが心から納得できるかどうか。
「なぜこの金額になるのか」「基本料金にはどこまで含まれていて、何をお願いすると追加料金になるのか」。これをきちんと説明してくれる税理士を選びましょう。
こんな質問をぶつけてみよう
「このお見積もりには、具体的にどんな業務が含まれていますか?例えば、年の途中で税金のことで相談したいとき、追加でお金はかかりますか?」
見積書の内訳を丁寧に説明し、こちらの質問にも誠実に答えてくれる。そんな姿勢こそ、信頼できる税理士の証です。料金体系が曖昧なまま契約すると、後々「話が違う!」なんてトラブルになりかねません。
4. 節税や資金繰りに「積極的」か
税理士の仕事は、ただ正確な申告書を作ることだけではありません。あなたの会社の財務状況をより良くし、事業の成長を後押しすることも、プロとしての大切な役割です。
現状を分析した上で、「もっと有利になる節税策がありますよ」「融資を活用して、資金繰りを楽にしませんか」といった提案を積極的にしてくれるかどうか。この差は、1年後、3年後の会社の姿を大きく変えるかもしれません。
ただ待っているだけでなく、プロとして主体的に動いてくれる税理士は、本当に心強い味方になります。
5. クラウド会計などのITツールに「強い」か
今や、会計業務の効率化にクラウド会計ソフトは欠かせない存在です。あなたが使っている、もしくはこれから使いたいと思っている会計ソフトに対応できる税理士を選ぶことで、データ連携が驚くほどスムーズになります。
古いやり方に固執せず、新しいテクノロジーを積極的に取り入れている税理士は、業務効率化への意識も高いはず。お互いの時間という貴重なコストを、大きく削減できるでしょう。
- 対応ソフト: freee会計やマネーフォワード クラウドなどに対応しているか。
- 連絡ツール: ChatworkやSlackなど、普段使っているツールでやり取りできるか。
- Web会議: ZoomやGoogle Meetでのオンライン面談は可能か。
これらのポイントを一つひとつ確認していくことで、あなたにとって最高のパートナーがきっと見つかります。それは、面倒な確定申告を乗り切るためだけでなく、あなたの事業がさらに大きく飛躍するための、大切な一歩になるはずです。
税理士への依頼から申告完了まで、迷わないための5ステップ
「よし、今年は思い切って税理士にお願いしてみよう!」と決めたはいいものの、「で、何から始めればいいの?」「どんな流れで進むんだろう…」と、いざとなると不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
実は、確定申告を税理士に依頼するプロセスは、思っているよりもずっとシンプルです。ここでは、税理士探しから申告完了までの一連の流れを、5つの分かりやすいステップに分けて、具体的に解説していきますね。
ステップ1: まずは相性の良い税理士を探す
何よりも最初の一歩は、あなたの事業を一緒に支えてくれる、いわば「ビジネスパートナー」探しから。もちろん、知人からの紹介も心強いですが、最近ではオンラインで探すのがすっかり当たり前になりました。
例えば、P4 MARKETのようなプラットフォームを使えば、さまざまな得意分野を持つ税理士のプロフィールや実績、料金体系まで一覧で比較検討できます。「自分の業界に詳しそうな人」「なんだか話しやすそうな人」といった視点で、まずは気軽に何人か候補をリストアップしてみましょう。
ステップ2: 無料相談で「人」と「サービス」を見極める
気になる税理士が見つかったら、次は無料相談を申し込んでみましょう。多くの税理士事務所が初回の相談を無料にしているので、これは相性や専門性を直接確かめる絶好のチャンスです。
この場で、ご自身の事業内容や年間の売上規模、どこまでお願いしたいか(例えば、日々の記帳も任せたいのか、申告書の作成だけでいいのか)を具体的に伝えるのがポイント。そうすることで、より正確な見積もりを出してもらえます。できれば2〜3人の税理士と話してみるのがおすすめです。料金の相場観やサービスの質を客観的に比べることができますよ。
ステップ3: 納得して契約書にサインする
「この人なら信頼できる!」と思える税理士に出会えたら、いよいよ契約です。契約書には、提供されるサービス内容、料金、支払い方法、お互いの責任範囲などが細かく書かれています。
契約書で必ず確認しておきたいポイント
- 業務の範囲: どこまでの作業が含まれているか(例: 記帳代行、月次レポート、年末調整など)
- 料金体系: 見積もり金額の内訳と、追加で費用が発生するケース
- 契約期間: いつからいつまでの契約になるのか
- 解約条件: もし途中で解約する場合のルール
少しでも疑問に思うことがあれば、遠慮なく質問しましょう。すべてに納得した上でサインすることが、後々のトラブルを防ぐ一番の秘訣です。
ステップ4: 必要な書類を準備して渡す
契約が済んだら、次は確定申告に必要な資料を税理士に渡します。「何を用意すればいいか分からない…」と心配しなくても大丈夫。通常、税理士の方から必要な書類リストを丁寧に案内してくれます。
一般的に必要となるのは、次のような書類です。
- 本人確認書類: マイナンバーカード、通知カード、運転免許証など
- 前年の確定申告書の控え: これがあると非常にスムーズです
- 収入がわかるもの:
- 売上の請求書、支払調書、売上台帳など
- 給与や年金をもらっている場合は、その源泉徴収票
- 経費がわかるもの:
- 経費の領収書やレシート、請求書など
- 事務所の家賃や水道光熱費の支払いがわかる明細
- 各種控除の証明書:
- 生命保険料、地震保険料の控除証明書
- 国民年金、国民健康保険の支払証明書
- iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金払込証明書
- 医療費の領収書や明細書
これらの書類を整理して渡すことで、その後の作業がぐっとスムーズに進みます。
ステップ5: 申告内容を最終確認し、納税(または還付)へ
あなたが集めた資料をもとに、税理士が申告書を作成してくれます。完成したら、内容に間違いがないか、一緒に最終確認を行いましょう。売上や経費の数字、適用されている控除などをチェックし、気になる点があればこの段階で解消しておきます。
ちなみに、日本税理士会連合会が実施した第7回税理士実態調査によると、確定申告業務は税理士にとって非常に重要な仕事のひとつ。多くの税理士が、個人事業主などの申告を力強くサポートしていることがデータからもわかります。
内容に同意したら、税理士があなたの代わりに電子申告(e-Tax)で税務署へ提出。これで申告手続きは完了です。あとは、確定した税額を納付書で期限までに納めるだけ。もし税金が戻ってくる「還付」に該当した場合は、後日、指定した口座に嬉しい振込があります。
この5つのステップを頭に入れておけば、初めて税理士に依頼する方でも、きっと安心して確定申告シーズンを乗り切れるはずです。
確定申告と税理士依頼に関するよくある質問
確定申告のために税理士への依頼を考え始めると、次から次へと疑問が湧いてきますよね。「こんなこと聞いてもいいのかな?」と思うような内容もあるかもしれません。ここでは、皆さんが共通して気になるポイントをQ&A形式でスッキリ解消していきます。
Q1. 売上がまだ少ないのですが、税理士に依頼する意味はありますか?
A. もちろんです。むしろ、売上が少ないうちから依頼するメリットは大きいですよ。
事業を始めたばかりの頃は、何が経費になるのか、帳簿はどうやってつけるのか、迷うことだらけだと思います。この最初の段階で自己流のやり方が癖になってしまうと、後から修正するのが本当に大変なんです。
売上が少ないうちから税理士と付き合う一番の価値は、「正しい経理の土台」をしっかり作れること。専門家の目線でチェックしてもらうことで、将来の節税につながるヒントをもらえたり、事業が大きくなったときに慌てずに済む体制を整えられたりします。未来への投資だと思って、一度相談してみることを強くおすすめします。
Q2. いつまでに税理士に相談すれば間に合いますか?
A. 理想を言えば年明けすぐ。遅くとも1月中には相談を始めたいところです。
ご想像のとおり、税理士が一年で最も忙しくなるのが、確定申告の期限が迫る2月から3月15日にかけて。この時期はまさに戦場です。多くの税理士は新規の依頼を断らざるを得なくなりますし、もし受けてもらえても「特急料金」がかかるケースがほとんどです。
1月中に相談できれば、税理士側もあなたの状況をじっくり把握し、どうすれば一番税金を抑えられるか、考える時間を十分に確保できます。 費用面でもサービスの質でも、早めの行動が何より大切です。
ギリギリの駆け込み依頼は、料金が高くなるだけでなく、本来できたはずの節税対策を見逃してしまうリスクも。年が明けたら、まずは「税理士探し」をタスクリストに入れておきましょう。
Q3. 白色申告でも依頼するメリットはありますか?
A. もちろんです。特に、これから「青色申告に切り替えたい」と考えているなら、メリットは絶大です。
白色申告は帳簿付けがシンプルですが、税金面での特典はほぼありません。税理士に相談すれば、最大で65万円もの特別控除が受けられるなど、節税効果がケタ違いの青色申告への移行を、スムーズに手伝ってくれます。
青色申告へ切り替えるには、事前に「所得税の青色申告承認申請書」という書類を税務署に出す必要があります。手続きの詳細は国税庁のウェブサイトにも載っていますが、正直ちょっと面倒ですよね。税理士に任せれば、こうした書類仕事も全部お任せできるので安心です。
もちろん、白色申告のままでも、経費の計上が正確になったり、将来の税務調査のリスクを減らせたりと、プロに頼む価値は十分にありますよ。
Q4. 顧問契約とスポット(単発)依頼、どちらが良いですか?
A. 初めてなら、まずは「スポット依頼」から試してみるのが王道です。
いきなり年間契約を結ぶのは少し勇気がいりますよね。まずは確定申告だけを単発でお願いしてみて、その税理士の仕事の進め方や、自分との相性を確かめてみるのが良いでしょう。その上で「この人なら信頼できる」「もっと継続的に相談したい」と感じたら、顧問契約を検討する、という流れが一番スムーズです。
- スポット依頼が向いている人
- まずは一度、プロの力を借りてみたい
- 年間の取引の数がそこまで多くない
- とにかく費用を抑えたい
- 顧問契約が向いている人
- 日々の経理や経営のことで、いつでも頼れる相談相手が欲しい
- 資金繰りや銀行からの融資についても相談したい
- 事業が急成長していて、税務上のリスクを常に管理しておきたい
あなたの事業が今どの段階にあるのか、どんなサポートを求めているのかに合わせて、ベストな契約形態を選びましょう。
確定申告の悩みは、一人で抱え込まずに専門家に相談するのが解決への一番の近道。でも、「いきなり税理士事務所に電話するのは、なんだか敷居が高い…」と感じる気持ちもよくわかります。
そんな時は、P4 MARKETのようなプラットフォームを使ってみるのがおすすめです。P4 MARKETなら、さまざまな得意分野を持つ税理士をオンラインで簡単に見つけられます。まずは「30分だけ」といった短い時間から、気軽に相談を申し込むことも可能です。何人かの専門家と話してみて、あなたにピッタリ合うパートナーを見つけてみてはいかがでしょうか。
本記事は2025年11月1日時点の情報に基づいて作成されています。税制や法律は改正される可能性があるため、実際の判断にあたっては最新の情報を確認するか、税理士などの専門家にご相談ください。本記事の内容によって生じた損害について、当方は一切の責任を負いかねます。