2025-11-15 法人の種類 一覧|最新12形態の設立要件と違いをわかりやすく比較
「会社を設立したいけれど、どんな法人の種類があるのかわからない」「自分の事業に最適な法人形態はどれだろう?」このような疑問から、法人の設立を検討している方は多いのではないでしょうか。
日本には株式会社や合同会社をはじめ、多様な法人格が存在します。それぞれの法人形態は、設立要件、税制上の扱い、社会的信用度、運営の自由度が大きく異なり、目的と合わない形態を選んでしまうと、後々の資金調達や税負担に影響する可能性があります。
この記事では、日本で設立可能な主要な法人の種類を一覧形式で紹介し、特徴・メリット・デメリット・設立手続きまでわかりやすく解説します。
1. 株式会社 (Kabushiki Gaisha / Joint-Stock Company)
株式会社は、日本で最も一般的で信用力の高い法人形態です。所有と経営が分離しており、株式を発行して資金調達でき、株主は出資額を限度とする有限責任を負います。将来的な上場(IPO)や大規模な成長を目指す企業に適しています。
企業統治についても会社法で詳細に規定されており、ガバナンス強化が図りやすい点が特徴です。
株式会社のメリットと注意点
- 信用力が高く、取引先・金融機関から評価されやすい
- 株式を用いた大規模な資金調達が可能
- 役員任期や決算公告など、運営には一定のコストと手続きが必要
実践のポイント
資本金は1円でも設立可能ですが、許認可や信用面を考慮し、数ヶ月分の運転資金を確保するのが一般的です。
2. 合同会社 (Godo Gaisha / Limited Liability Company)
合同会社は2006年に導入された法人形態で、社員は全員有限責任を負います。経営の自由度が高く、登録免許税の安さや定款認証不要など、設立・運営コストを抑えられる点が特徴です。
合同会社のメリットと注意点
- 設立・運営コストが安い
- 配当や権限構造を非常に柔軟に設計できる
- 役員任期なし、決算公告不要
- 信用力が株式会社より低い場合がある
実践のポイント
出資比率に関わらず利益配分を自由設定できるため、事前に社員間の取り決め(定款・契約書)を明確にしておくことが重要です。
3. 合資会社 (Goshi Gaisha / Limited Partnership)
合資会社は、無限責任社員(1名以上)と有限責任社員(1名以上)で構成される法人形態です。無限責任社員が経営を担い、有限責任社員は出資者として参加します。
合資会社のメリットと注意点
- 合同会社よりさらに簡素な運営が可能
- 無限責任社員が経営権を持つため意思決定が早い
- 有限責任社員はリスクを限定して参加できる
- 無限責任社員には個人資産まで責任が及ぶリスクあり
実践のポイント
責任範囲が大きく異なる社員を組み合わせるため、定款で権限・責任・利益配分を明確に定めることが必須です。
4. 合名会社 (Gomei Gaisha / General Partnership)
合名会社は社員全員が「無限責任社員」となる法人形態です。信用重視の家業や共同事業など、強い信頼関係に基づく小規模ビジネスに向いています。
合名会社のメリットと注意点
- 設立・運営が最も簡易
- 強固な意思決定と結束力
- 全員が無限責任を負うリスクが大きい
実践のポイント
無限責任のため、社員間の信頼・役割分担・脱退ルールを定款で厳密に定める必要があります。
5. NPO法人 (Nonprofit Organization / 特定非営利活動法人)
NPO法人は、特定非営利活動促進法に基づき、社会貢献を目的として設立される非営利法人です。法律で定められた20分野の特定非営利活動を主目的とし、利益を構成員に分配することはできません。
NPO法人のメリットと注意点
- 社会的信用が高く、寄付や助成金を獲得しやすい
- 収益事業以外は非課税となる場合がある
- 設立に認証手続きが必要で、設立まで時間がかかる
- 年次報告書・会計書類の提出義務がある
実践のポイント
認証の可否は定款の目的・事業内容に依存するため、目的の明確化が重要です。
6. 公益社団法人 (Public Interest Incorporated Association)
公益社団法人は、一般社団法人の中から公益目的事業を行う団体として行政庁の「公益認定」を受けた法人です。高い透明性と公益性が求められます。
公益社団法人のメリットと注意点
- 高い社会的信用性と税制優遇が受けられる
- 寄付金控除など寄付獲得にも強い
- 公益認定の基準は極めて厳格
- 認定後も厳しい監督・報告義務がある
実践のポイント
事業内容・運営体制・財務が公益要件を満たす必要があります。
7. 公益財団法人 (Public Interest Incorporated Foundation)
公益財団法人は、拠出された財産を基本財産とし、その運用益で公益事業を行う法人です。公益認定を受ける必要があり、長期的な公益事業に向く形態です。
公益財団法人のメリットと注意点
- 高い公益性・税制優遇・寄付獲得力
- 財産を永続的に公益活動へ充てられる
- 公益認定の審査が厳格
- 設立後も行政庁による監督下に置かれる
実践のポイント
まず一般財団法人を設立し、その後公益認定を申請する二段階方式です。
8. 一般社団法人 (General Incorporated Association)
一般社団法人は、共通目的のために集まった人々によって設立される非営利法人です。公益性は不要で、2名以上の社員(会員)がいれば設立できます。
一般社団法人のメリットと注意点
- 柔軟性が高く、共益的活動や収益事業も可能
- 非営利型法人の要件を満たせば税制優遇あり
- 剰余金の分配は禁止
- 会費・受託事業・補助金などが主な財源
実践のポイント
定款で会員資格や議決権、会費、機関構成を明確にしておくことが重要です。
9. 一般財団法人 (General Incorporated Foundation)
一般財団法人は、個人や法人が拠出した財産をもとに設立される非営利法人で、300万円以上の基本財産が必要です。
一般財団法人のメリットと注意点
- 公益認定不要で設立が比較的容易
- 財産を長期的に管理・運用できる
- 設立時の基本財産が返還されない
- 理事会・評議員会など機関設計が必要
実践のポイント
財産管理のルールと透明性が重要です。
10. 労働組合 (Trade Union / Labor Union)
労働組合は、労働者が主体となり、労働条件の維持改善や経済的地位の向上を目的として組織される団体です。労働組合法に基づく団体で、原則としては法人格のない任意団体ですが、一定の要件を満たして労働委員会の証明を受け、登記を行うことで法人格を取得することができます。
労働組合のメリットと注意点
- 団体交渉権・争議権などが法的に保障されている
- 法人格を取得すれば契約・資産保有が可能
- 規約や会計管理など、継続的で透明な運営が必要
実践のポイント
法人格を取得するかどうかは活動内容に応じて判断します。
11. 消費生活協同組合 (Consumer Cooperative)
消費生活協同組合は、消費生活協同組合法にもとづく「協同組合法人」で、組合員の共同利益のために活動し、安全な食品や日用品の供給、共済、福祉サービスなどを提供する非営利法人です。
消費生活協同組合のメリットと注意点
- 組合員ニーズに合わせた事業運営が可能
- 利用分量配当により組合員へ還元できる
- 設立には都道府県知事の認可と300人以上の組合員が必要
- 事業範囲は組合員の利用に限定される
実践のポイント
安定した運営には組合員数の確保と民主的運営が欠かせません。
12. 農業協同組合 (Agricultural Cooperative / JA)
農業協同組合は、農業協同組合法に基づく協同組合法人で、農業者が共同で購買・販売・金融・技術支援などを行う組織です。農業経営の安定化や生産性向上に寄与します。
農業協同組合のメリットと注意点
- 共同購買・共同販売によるコスト削減
- 農協ブランドの流通網や金融サービスを利用可能
- 意思決定が多数決のため、個人裁量は限定される
- 事業範囲が法令で定められている
実践のポイント
地域の農業者同士で連携し、販売・購買・金融の各サービスを最大限活用することが重要です。
法人12種類の比較表
| 形態 | 複雑さ | 必要コスト | 特徴・成果 | 向いているケース | 主な利点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 株式会社 | 高い | 高い | 高い信用・資金調達力 | 大規模成長・上場 | 有限責任・株式調達 |
| 合同会社 | 中 | 低〜中 | 柔軟な運営・低コスト | 小規模事業 | 柔軟設計・役員任期なし |
| 合資会社 | 低〜中 | 低い | 無限+有限責任の役割分担 | 経営者と出資者を分けたい場合 | 簡素運営・迅速判断 |
| 合名会社 | 低い | 低い | 強固な結束・迅速な意思決定 | 小規模・家業 | 設立容易・柔軟 |
| NPO法人 | 中〜高 | 低〜中 | 社会的信用・助成金 | 公益活動 | 税優遇・信頼性 |
| 公益社団法人 | 非常に高い | 中〜高 | 高い公共信頼性 | 専門職団体 | 広範な税優遇 |
| 公益財団法人 | 非常に高い | 非常に高い | 長期的公益事業 | 研究・文化事業 | 寄付獲得力 |
| 一般社団法人 | 中 | 低〜中 | 多様な活動 | 業界団体・地域団体 | 自由度が高い |
| 一般財団法人 | 中〜高 | 中〜高 | 長期運営 | 研究助成・家族財団 | 安定運営 |
| 労働組合 | 中 | 低〜中 | 労働条件改善 | 従業員保護 | 交渉力アップ |
| 消費生活協同組合 | 中 | 中 | 会員還元 | 生活向上 | 民主的運営 |
| 農業協同組合 | 高い | 中〜高 | 市場アクセス改善 | 農業者支援 | 購買・販売・金融 |
※労働組合は原則としては法人格のない団体ですが、労働委員会の証明を受け登記すると法人格を取得できるため、本表では「法人格取得可能な団体」として掲載しています。
最適な法人形態を選ぶために
法人形態の選択は、事業の方向性・成長戦略・リスク許容度を決める重要な判断です。迷ったときは専門家への相談が非常に有効です。
本記事は2025年11月15日時点の情報に基づいて作成されています。税制や法律は改正される可能性があるため、実際の判断にあたっては最新の情報を確認するか、税理士などの専門家にご相談ください。