2025-11-28 本店移転登記の費用はいくら?司法書士への報酬相場とコスト削減のポイント
作成日:2025年11月28日
会社の成長や事業戦略の変化に伴い、本社(本店)を移転することは珍しくありません。しかし、オフィスの引越しが完了しても、法務局での「本店移転登記」という法的な手続きが必須です。この手続きにはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。
結論から言うと、司法書士などの専門家に依頼した場合の費用相場は、合計で8万円から13万円程度です。この金額は、国に納める税金である「登録免許税」と、手続きを代行する「専門家への報酬」で構成されています。
この記事では、本店移転登記にかかる費用の内訳や、移転パターンによる金額の違い、そして費用を賢く抑えるための具体的な方法について、わかりやすく解説します。
本店移転登記にかかる費用の全体像
会社の事務所を移転した場合、法務局に対して「本店所在地が変更になりました」と届け出る手続きが本店移転登記です。これは会社法で定められた義務であり、必ず行わなければなりません。
手続きにかかる費用は、移転先が現在の法務局の「管轄内」か「管轄外」かによって大きく変動します。この点が費用を見積もる上で最も重要なポイントです。
費用の2大要素:登録免許税と専門家報酬
本店移転登記の費用は、主に以下の2つで構成されます。
- 登録免許税:登記手続きの際に国へ納める税金です。金額は法律で定められています。
- 専門家への報酬:司法書士などに手続き代行を依頼する際に支払う手数料です。
司法書士への報酬は事務所によって異なりますが、おおよそ5万円から10万円が一般的な相場です。これに登録免許税が加わります。例えば、同じ市区町村内での移転(管轄内移転)であれば、登録免許税は3万円です。つまり、報酬と合わせて合計8万円から13万円程度になる計算です。
【具体例】移転パターンで費用が倍になるケース
費用総額を大きく左右するのが「管轄」の違いです。
管轄内移転のケース
- 状況: 東京都千代田区内でオフィスを移転する。
- 特徴: 管轄する法務局(東京法務局)が変わらない。
- 登録免許税: 3万円
管轄外移転のケース
- 状況: 東京都千代田区から新宿区へオフィスを移転する。
- 特徴: 管轄が東京法務局から、その新宿出張所に変わる。
- 登録免許税: 旧本店と新本店の2つの法務局で申請が必要なため、合計6万円(3万円×2)
このように、移転パターンによって登録免許税だけで3万円の差が生じます。まずは自社の移転がどちらに該当するかを確認することが、正確な予算を組むための第一歩です。
本店移転登記の費用相場 早見表(専門家に依頼する場合)
移転パターン別に、本店移転登記にかかる費用の目安をまとめました。
| 移転パターン | 登録免許税 | 司法書士報酬(目安) | 合計費用(目安) |
|---|---|---|---|
| 管轄内移転(法務局が変わらない) | 30,000円 | 50,000円~80,000円 | 80,000円~110,000円 |
| 管轄外移転(法務局が変わる) | 60,000円 | 70,000円~100,000円 | 130,000円~160,000円 |
※上記は一般的な目安であり、会社の状況や依頼する専門家によって変動します。
本店移転登記には、株主総会議事録の作成など専門的な書類準備が伴うため、多くの企業が司法書士などの専門家に依頼します。
登記で必ずかかる「登録免許税」ってどんなもの?
本店移転登記において、専門家への報酬とは別に、必ず発生する費用が国に納める「登録免許税」です。これは登記という行政サービスを利用するための手数料と考えると分かりやすいでしょう。
金額は法律で一律に定められているため、誰が申請しても同じ額がかかります。そして、その税額を決める要因は「移転先が現在の法務局の管轄エリア内か、管轄外か」という地理的な条件のみです。会社の資本金の額などは関係ありません。
管轄エリア内の移転なら、一律3万円
移転先が、現在と同じ法務局の管轄エリア内にある場合です。例えば、大阪市中央区のオフィスから、同じ中央区内の別のビルへ移転するケースがこれに該当します。
この「管轄内移転」の場合、登録免許税は一律30,000円です。手続きは、移転後の新しい住所を管轄する法務局(この場合は移転前と変わらない法務局)に1回申請するだけで完了します。
管轄内移転のポイント
- 登録免許税:30,000円
- 申請先:1つの法務局のみ
- 具体例:東京都千代田区内での引越し、大阪市中央区内での引越しなど
管轄エリア外への移転なら、倍の6万円
一方、移転によって管轄の法務局が変わる「管轄外移転」では、状況が異なります。例えば、東京都渋谷区から新宿区へ、あるいは大阪市から神戸市へ本社を移すようなケースです。
この場合、手続きが「旧所在地の登記」と「新所在地の登記」の2件分として扱われるため、申請も2つの法務局に対して行う必要があります。その結果、登録免許税も30,000円 × 2 = 60,000円が必要となります。
同じ市内での移転でも、区が変わるだけで管轄が変わることは珍しくありません。自社の移転がどちらのパターンに該当するか、事前に確認することが重要です。
💡 法務局の管轄をチェック!
移転元と移転先の住所がどの法務局の管轄かは、法務省の「管轄のご案内」ページで正確に調べられます。
この確認を怠ると、後から「予算が3万円も足りない!」といった事態になりかねません。計画の初期段階で必ずチェックしておきましょう。
司法書士に頼むと、報酬はどれくらい?その内訳も解説
本店移転の登記手続きは、株主総会議事録の作成など、法的な知識が求められる場面が多くあります。書類に不備があれば申請は受理されず、時間と手間が無駄になってしまう可能性も。そのため、多くの企業が司法書士に手続きを依頼します。
司法書士に支払う報酬は、「本店移転登記費用」の主要な部分を占めます。事務所の方針や依頼内容によって変動しますが、おおむね5万円から10万円が相場です。報酬額に幅があるのは、手続きの難易度によって作業量が変わるためです。
報酬が変わる、3つのポイント
司法書士の報酬は、具体的にどのような要因で変動するのでしょうか。主なポイントを3つ紹介します。
① 移転のパターン
法務局の管轄をまたぐ「管轄外移転」は、2つの法務局への申請が必要となり、手続きが複雑化します。そのため、管轄内移転に比べて報酬も1万円から3万円ほど高くなるのが一般的です。
② どこまで書類作成を頼むか
登記には、法的に有効な株主総会議事録や取締役会議事録が不可欠です。こうした議事録の作成から全てを依頼する場合、その分費用は上乗せされます。逆に「議事録は自社で作成するので、申請代行だけお願いしたい」という形であれば、費用を抑えることが可能です。
③ 定款の変更が必要かどうか
定款に記載された本店所在地が「東京都千代田区」のように最小行政区画まで記載されている場合、区外への移転では定款変更が必要です。この定款変更の手続きもセットで依頼すると、追加で費用が発生します。
📝 納得できる専門家を見つけるためのチェックリスト
- 複数の事務所から見積もりを取る。
- 見積もりにどの業務(議事録作成、申請代行など)が含まれているか確認する。
- 追加料金が発生するケースについて事前に質問する。
信頼できる専門家を、効率よく見つけるには?
最適な司法書士を探すには、料金だけでなく、実績や対応の速さも重要です。しかし、一軒ずつ問い合わせるのは時間も手間もかかります。
そんな時は、専門家を探せるプラットフォームの活用が便利です。P4 MARKETのようなサービスを利用すれば、会社登記に強い司法書士を効率的に見つけることができます。
見落としがちな、でも大切な「その他の費用」
本店移転の予算を組む際、登録免許税や司法書士報酬といった主要な費用以外にも、見落としがちなコストが存在します。一つひとつの金額は小さくても、積み重なると全体の費用に影響を与えるため、事前に把握しておきましょう。
登記完了後に必要となる証明書の取得費用
登記手続きが完了した後、新しい本店所在地が記載された会社の「履歴事項全部証明書(登記簿謄本)」を取得し、関係各所に提出する必要があります。銀行口座の住所変更、許認可の変更手続き、主要な取引先への通知など、様々な場面でこの証明書が求められます。
登記事項証明書(登記簿謄本)の取得手数料
- 法務局の窓口で取得:1通600円
- オンライン請求・郵送受取:1通500円
- オンライン請求・電子ファイル受取:1通334円
例えば、銀行3行と重要な取引先5社に提出する場合、合計8通が必要です。これを全て窓口で取得すると4,800円の費用がかかります。
その他、念のため見ておきたい雑費
証明書代のほかにも、以下のような細かな費用が発生する可能性があります。
📋 諸費用のチェックリスト
- 郵送料:法務局へ書類を郵送する際のレターパック代(520円程度)や、取引先へ移転通知を送る際の切手代。
- 交通費:法務局や金融機関へ直接出向く際の交通費。
- 印鑑の作り直し費用:移転を機に会社の実印や銀行印、角印などを新調する場合の費用(数千円~数万円)。
- 印鑑カードの発行手数料:管轄外移転の場合、新しい法務局で印鑑カードの再発行が必要ですが、この手数料は無料です。
これらの諸費用を事前にリストアップし、予算に含めておくことで、後から慌てることなくスムーズに手続きを進めることができます。
本店移転登記の費用、どうにか安くならない?3つの節約テクニック
会社の経費は1円でも賢く使いたいものです。本店移転登記の費用も、いくつかの工夫で削減できる可能性があります。ここでは、コストを抑えるための具体的な3つの方法を、それぞれのメリット・デメリットとあわせて紹介します。
方法1:自分で登記申請に挑戦する(セルフ登記)
最もコスト削減効果が大きいのは、専門家に依頼せず、自分で登記申請を行う方法です。これにより、司法書士に支払うはずだった報酬5万円から10万円程度を節約できます。
ただし、正確な法務知識と時間が必要です。株主総会議事録などの必要書類を不備なく作成し、法務局の審査を通過しなければなりません。もし書類に不備が見つかると、何度も修正や再提出が必要となり、結果的に多くの時間を費やすリスクがあります。
セルフ登記のメリット・デメリット
- メリット: 司法書士報酬がかからず、費用を最小限に抑えられる。
- デメリット: 専門知識が必要で、時間と手間がかかる。書類不備のリスクも伴う。
方法2:オンライン申請で手間と交通費をカット
登記申請は、法務局の「登記・供託オンライン申請システム」を利用してオンラインで完結させることができます。これにより、法務局へ出向く交通費や書類の郵送費を節約できます。
初めに電子証明書の取得などの準備が必要ですが、一度環境を整えれば、将来他の登記手続きを行う際にも活用できます。大量の紙書類を管理する手間が省ける点も大きなメリットです。
方法3:司法書士への依頼は「相見積もり」が鉄則
「専門家に依頼したいが、費用は抑えたい」という場合は、複数の司法書士事務所から見積もりを取ることが重要です。
本店移転登記の報酬は事務所によって料金体系が異なります。1社だけの見積もりで決めると、その金額が適正かどうか判断できません。複数の見積もりを比較し、サービス内容と費用のバランスが取れた専門家を選ぶことで、コストを適正化できます。
手続きの流れと費用が発生するタイミング
本店移転の費用は、手続きの各段階で発生します。資金繰りを管理するためにも、「どのタイミングで、何に、いくらかかるのか」を把握しておくことが大切です。
STEP1 移転場所の決定と社内決議
本店移転の最初のステップは、新しいオフィスの場所を決め、株主総会や取締役会で正式に決議することです。この段階で登記に直接かかる費用はまだ発生しませんが、司法書士にコンサルティングを依頼する場合は着手金が必要になることがあります。
STEP2 登記申請書類の作成
移転が正式に決まったら、法務局に提出する登記申請書や議事録などの書類を準備します。専門家に依頼する場合、この書類作成作業に対して報酬が発生します。報酬の支払いタイミングは事務所によって異なり、完了後の一括払い、または着手金と残金に分けるパターンなどがあります。
💡 支払いのポイント
司法書士と契約する際は、報酬総額だけでなく、支払いスケジュールも必ず確認しましょう。これにより、資金計画が立てやすくなります。
STEP3 法務局への登記申請と税金の納付
書類が全て揃ったら、法務局へ登記申請を行います。登録免許税(管轄内3万円、管轄外6万円)は、この申請時に納付します。一般的には、税額分の収入印紙を申請書に貼り付けて提出するため、事前に郵便局などで購入しておく必要があります。
STEP4 登記完了後の各種手続き
登記が完了したら、新しい登記事項証明書を取得し、税務署、年金事務所、金融機関などへの届出を行います。この証明書の取得手数料(1通600円程度)や郵送料などの実費が最終段階で発生します。これらの費用も事前にリストアップしておくと、より正確な総費用を把握できます。
本店移転登記の費用について、よくあるご質問
Q1. 登記申請って、自分たちでもできますか?
A1. はい、ご自身で手続きを行うことは可能です。しかし、法務局のウェブサイトにある申請書テンプレートを自社の状況に合わせて正確に作成するには、専門的な知識と時間が必要です。書類に不備があると何度も法務局へ足を運ぶことになりかねません。特に管轄外移転のように手続きが複雑な場合は、時間と正確性を考慮すると、専門家への依頼が確実で安心な選択肢と言えます。
Q2. 登録免許税や司法書士への報酬は、会社の経費として認められますか?
A2. はい、どちらも会社の経費として計上できます。会計処理上、登録免許税は「租税公課」、司法書士への報酬は「支払手数料」などの勘定科目で処理するのが一般的です。これらの費用を経費計上することで、課税所得を圧縮し、法人税の節税に繋がります。支払い後の領収書は必ず保管しておきましょう。
Q3. 本店移転の登記申請は、いつまでに行えばいいのでしょうか?
A3. 会社法により、本店を実際に移転した日から2週間以内に登記申請を行うことが義務付けられています。
⚠️ 注意
正当な理由なくこの期限を過ぎると、「登記懈怠(とうきけたい)」と見なされ、会社の代表者個人に対して100万円以下の過料(罰金に類似したペナルティ)が科される可能性があります。
参照:e-Gov法令検索「会社法」
予期せぬペナルティを避けるためにも、移転が決まったら速やかに登記の準備を進め、スケジュール管理を徹底することが重要です。
本店移転登記は、専門知識が求められる手続きです。ご自身での対応が難しいと感じたり、どの専門家に相談すればよいか分からなかったりする場合は、信頼できる専門家を探すことをお勧めします。
多くの専門家がオンラインでの相談に対応しているため、まずは気軽に話を聞いてみてはいかがでしょうか。
本記事は2025年11月28日時点の情報に基づいて作成されています。税制や法律は改正される可能性があるため、実際の判断にあたっては最新の情報を確認するか、税理士などの専門家にご相談ください。本記事の内容によって生じた損害について、当方は一切の責任を負いかねます。