2025-12-03 税務調査の準備、どうすれば?慌てないための完全ガイド
作成日:2025年12月3日
「税務調査の準備」と聞くと、何か特別なことをしなければならないように感じるかもしれません。しかし、基本はとてもシンプルです。日々の会計処理を正しく行い、その裏付けとなる書類をきちんと整理しておくこと、これに尽きます。
多くの税務調査は、ある日突然やってくるわけではありません。税務署から事前に電話で連絡があるのが一般的です。その時に慌てないよう、普段から社内の体制を整えておくことが何より大切です。この記事では、中小企業の経営者や個人事業主の方が、税務調査の通知を受けてから調査後の対応まで、具体的に何をすべきかを分かりやすく解説します。
税務調査はいきなり来る、は本当か?
「ある日突然、調査官が事務所にやってきて…」というドラマのようなシーンを想像する経営者の方も少なくないでしょう。
しかし、これは少し誤解です。ほとんどの税務調査(任意調査)は、事前に電話で「○月○日に調査にお伺いしたいのですが」といった形で連絡が入ります。これは法律(国税通則法第74条の9)で定められた手続きで、納税者が準備する時間を与えてくれるわけです。
もちろん例外もあります。飲食店や小売店など、日々の売上が現金でやり取りされる業種では、事前の連絡なしに調査官が訪れる「無予告調査」が行われることもあります。これは、ありのままの営業実態を確認する必要があると税務署が判断した場合に限られます。
うちの会社は大丈夫?税務調査の確率
「うちは小さい会社だから関係ない」と思っていませんか? 税務調査は会社の規模に関係なく、すべての事業者が対象になる可能性があります。
ここで少し具体的な数字を見てみましょう。まず、税務調査の基本情報をまとめたのがこちらのチェックリストです。
税務調査の基本情報チェックリスト
| 項目 | 内容 | 補足 |
|---|---|---|
| 調査の確率(法人) | 約1.9%(令和5年度) | 約50社に1社が対象になる計算です。 |
| 調査の確率(個人) | 約0.9%(令和5年度) | 法人より確率は低いですが、調査対象となった場合の指摘率は83%を超えます。 |
| 調査対象期間 | 原則として過去3年分 | 不正が疑われる場合は、最大で過去7年分まで遡ることがあります。 |
| 主な調査の種類 | 任意調査と強制調査 | ほとんどが任意調査。強制調査は悪質な脱税が疑われる場合に行われます。 |
| 調査にかかる日数 | 1〜3日程度 | 会社の規模や調査内容によって異なりますが、この日数が一般的です。 |
このデータから、調査対象に選ばれる確率は決して高くないものの、もし選ばれたら何かしらの指摘を受ける可能性が非常に高いことがわかります。
令和5年度のデータを見ると、法人に対する税務調査の確率は約1.9%。これは、だいたい50社に1社が調査を受けている計算です。個人事業主だと約0.9%ですが、注目すべきは、調査を受けた個人事業主のうち約83%もの人が何らかの申告漏れを指摘されているという事実です。
この数字の裏には、税務署が事前に膨大なデータを分析し、「ここに問題がありそうだ」と的を絞って調査対象を選んでいるという現実があります。
【ケーススタディ】
年商5,000万円のIT企業A社。創業以来、順調に売上を伸ばしていましたが、ある年、同業他社に比べて外注費の割合が突出して高いことに税務署が着目。調査の結果、実態のない外注費を計上していたことが発覚し、多額の追徴課税を課されることになりました。このように、税務署はデータ分析によって「異常値」を見つけ出し、調査に乗り出すのです。
なぜ調査は行われるのか?目的と最近の傾向
そもそも税務調査の目的は、提出された申告書の内容が正しいかを確認し、申告納税制度という仕組みの公平性を保つことにあります。調査官は、売上や経費の計上が適切か、帳簿や証拠書類に不備はないか、といった点を客観的な視点でチェックします。
そして、その調査方法も時代とともに変化しています。
- 「実地調査」だけじゃない「簡易な接触」
調査官が会社を訪れる「実地調査」が基本ですが、最近では電話や書面で「この部分、修正してもらえませんか?」と是正を促す「簡易な接触」という方法も増えています。特に、軽微なミスはこちらで済まされるケースが多いようです。 - データ分析によるターゲティング
国税庁はKSK(国税総合管理)システムという巨大なデータベースを活用し、あらゆる申告データから異常値や同業他社との比較で目立つパターンを分析しています。これにより、調査対象を選ぶ精度は年々上がっており、より効率的な調査が行われるようになっています。
こうした背景を知っておくだけでも、漠然とした不安が「なるほど、こういうことか」という具体的な知識に変わります。それが、適切な「税務調査の準備」への第一歩です。
もし、自社の経理状況に少しでも不安があったり、専門家の客観的な意見が聞きたいと感じたら、税理士への相談を検討してみるのも一つの手です。税務調査は専門的な知識が求められるため、税理士のようなプロに相談することで、安心して対応を進めることができます。例えば、P4 MARKETのようなサービスでは、経験豊富な税理士にオンラインで気軽に相談することも可能です。
税務調査の通知がきたら、まず何をすべきか
ある日突然、税務署からかかってくる一本の電話。どんな経営者でも、一瞬ヒヤッとする瞬間でしょう。ですが、ここからどう動くかで、税務調査の結果は大きく変わってきます。慌てず、限られた時間で的確な準備を進めることが何よりも大切です。
まずやるべきことは、顧問税理士への連絡です。すぐに電話をかけ、調査の日程、対象となる事業年度、調査官の名前と所属部署など、電話で聞いた情報をありのまま伝えます。この初動のスピードが、その後の準備をスムーズに進めるための鍵を握っています。
パートナーである専門家と作戦会議を開く
顧問税理士に連絡がついたら、次は調査に向けた具体的な打ち合わせです。税理士は税務調査対応のプロ。調査官が何に興味を持ち、どんな流れで質問してくるかを熟知しています。
まずは、お互いの役割をしっかり確認しておきましょう。
- 日程調整は税理士に任せる: 税務署との日程交渉は、迷わず税理士にお願いするのがベストです。こちらの業務の都合を伝えれば、準備期間をしっかり確保できるよう、うまく調整してくれます。
- 当日の立会いは必須: 調査当日は、必ず税理士に立ち会ってもらいましょう。専門家の視点からあなたをサポートし、調査官からの不適切な質問や過度な要求に対する「防波堤」になってくれます。
- 書類の事前チェックを依頼する: どんな書類を、どこまで準備すればいいのか。税理士の指示を仰ぎ、集めた書類に法的な問題がないか、事前に隅々までチェックしてもらうことが不可欠です。
この段階で税理士としっかりタッグを組めれば、精神的なプレッシャーは驚くほど軽くなります。安心して、冷静に準備に取り組めるはずです。
必要な書類を完璧に揃える
税理士との作戦会議が終わったら、いよいよ書類準備の本番です。税務署から依頼された書類を、抜け漏れなく、正確に揃えていきます。
調査でよく求められるのは、以下のような書類です。
| 書類の種類 | 具体的な書類の例 | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 会計帳簿 | 総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳など | データだけでなく、紙でもすぐに提示できるよう整理しておく。 |
| 決算関係書類 | 決算報告書、勘定科目内訳明細書、法人事業概況説明書 | 税務署に提出した申告書の控えと内容が一致しているか確認。 |
| 証拠となる資料 | 請求書、領収書、契約書、納品書、見積書など | 取引の流れが一目でわかるよう、日付や取引先ごとにファイリング。 |
| その他の書類 | 株主総会や取締役会の議事録、給与台帳、源泉徴収簿 | 役員報酬や交際費の妥当性を示す議事録は特に念入りに。 |
ただし、ただ書類を集めるだけでは不十分。一番重要なのは、その中身を税理士と一緒に一つひとつ確認する作業です。
例えば、「この会議費の領収書は、本当に事業に関係あると言えるか?」「この売上の計上タイミングは、契約書の内容とズレていないか?」といった視点で、矛盾点がないかを徹底的に洗い出します。この地道な事前レビューこそが、当日の指摘を未然に防ぐ最善の策なのです。
社内の足並みを揃え、一貫した対応を
書類の準備と並行して、社内での情報共有も進めておきましょう。税務調査は、経理担当者だけの問題ではありません。経営者や営業担当者など、調査官から質問を受ける可能性のある全員が、同じ認識でいることが極めて重要です。
まずは経営陣、経理担当者、そして顧問税理士で集まり、想定される質問と回答のシミュレーションを行います。特に、金額の大きな取引や、少しイレギュラーな経費については、その背景や正当性を誰もが同じように説明できるよう、言葉を合わせておく必要があります。
例えば、高額な接待交際費について、調査官が営業担当者に「この会食の目的は何でしたか?」と尋ねたとき。もし経理の認識と少しでも食い違う答えが返ってきたら、それだけで余計な疑念を招きかねません。
こうした事態を避けるためにも、「誰が」「何について」「どう答えるか」を事前に決めておく。これが、調査をスムーズに乗り切るための最後の仕上げです。
税務調査は確かに緊張しますが、正しい手順で万全の準備をすれば、何も恐れることはありません。もし顧問税理士がいない、あるいは別の専門家の意見も聞いてみたいという場合は、P4 MARKETのようなプラットフォームで、経験豊富な税理士を探してスポットで相談してみるのも一つの手です。プロの力を借りて、自信を持って調査当日を迎えましょう。
税務調査官はどこを見ている?狙われやすい勘定科目とその対策
税務調査と聞くと、帳簿を隅から隅まで調べられるようなイメージがあるかもしれませんが、実際はそうではありません。調査官は、過去の経験から「間違いが起こりやすい」「利益操作に使われがち」といった勘所を熟知しています。彼らは、特定の勘定科目に狙いを定めて、重点的にチェックしてくるのです。
つまり、税務調査の準備とは、この「狙われやすいポイント」を事前に把握し、自社の経理処理に問題がないかを見直す作業に他なりません。日頃から適正な処理を心がけていれば、調査当日も落ち着いて対応できるはずです。
まずは「売上」の計上時期から
調査官が真っ先に目を光らせるのが「売上」です。特に、決算期末ぎりぎりの売上については、意図的に翌期へ先送りしていないか、逆に前倒しで計上していないか、といった点を厳しくチェックされます。
大原則として、売上は商品を引き渡した日やサービスの提供が完了した日(実現主義)に計上しなければなりません。請求書の発行日や入金日ではない、という点をしっかり押さえておきましょう。
- ここをチェックされる!
- 期末に近い日付の納品書や検収書と、売上計上日がちゃんと一致しているか。
- 大規模プロジェクトの場合、契約書で定められた収益認識基準(工事進行基準など)通りに、正しく売上が計上されているか。
- なぜか翌期首に返品や値引きが集中していないか。(期末の売上を過大に見せていないか、という視点です)
たとえば3月決算の会社で、3月31日に納品が完了しているのに、事務処理の都合で請求書発行が4月1日になり、売上も4月計上にしてしまう。これは「期ズレ」として指摘される典型的なケースなので注意が必要です。
グレーゾーンになりがちな交際費と会議費
次に狙われやすいのが「交際費」です。事業とは関係のない、個人的な支出が経費として紛れ込んでいないか、という視点で細かく確認されます。
中でも、「会議費」として処理した支出が、実態は交際費なのではないか、と疑われるケースは非常に多いです。この2つを分ける重要な基準の一つが、一人あたり5,000円以下かどうか、というルールです。
ただし、この5,000円基準は、ただ金額が下回っていればOKという単純な話ではありません。「参加した相手先の名称」「参加人数」「年月日」「場所」といった情報を記録した書類を保存することが必須条件です。この記録がなければ、たとえ少額でも交際費とみなされてしまう可能性があります。
さらに、社内での飲食費も油断できません。社員全員が参加するような慰労会であれば福利厚生費ですが、役員や特定の部署だけで行われた高額な飲食は、役員賞与や給与として認定されるリスクがあります。「何のための支出だったのか」を議事録などで客観的に証明できるようにしておくことが、何よりの防御策になります。
役員報酬と在庫評価は適正か
「役員報酬」も調査官が必ず見る重要項目です。金額が不相当に高額でないか、事業年度の途中で正当な理由なく変更していないか、といった点が問われます。
役員報酬を損金にするには、定款または株主総会の決議で定めた金額を、毎月同額で支払う「定期同額給与」が基本です。業績が悪化したからといって期中に減額すると、その部分が損金として認められない可能性が出てきます。変更する際は、必ず株主総会の議事録をきちんと残しておきましょう。
棚卸資産(在庫)の評価も、利益操作につながりやすいポイントとして厳しく見られます。
- 在庫の計上漏れはないか? 期末時点で倉庫にあるものだけでなく、販売先への発送途中の商品や、委託先に預けている在庫も、すべて資産として計上する必要があります。
- 評価損は適切か? 売れ残り品などの資産価値を評価損として減らす場合、なぜ価値が下がったのか(流行遅れ、品質劣化など)を客観的かつ合理的に説明できなければなりません。
これらの科目は金額が大きくなりやすく、会社の利益に直接的な影響を与えるため、調査官は特に慎重に確認してくるのです。
グローバル化で高まる国際取引のリスク
海外に子会社があったり、国外の企業と取引があったりする場合、税務調査はさらに複雑になります。特に近年、税務当局が注力しているのが「移転価格税制」に関する調査です。
これは、海外の関連会社との取引価格を意図的に操作して、税率の低い国に所得を移す行為を防ぐためのルールです。たとえば、日本の親会社が海外の子会社に製品を不当に安く販売すれば、日本の利益は減り、海外子会社の利益が増えます。これが租税回避ではないか、と問題視されるわけです。
実際に、令和5事務年度の国税庁の発表によると、移転価格税制に関する調査での申告漏れ所得金額は前年比で約31%も増加。1件あたりの漏れ額も約2.6億円から約4.1億円へと大幅に増えています。これは、税務当局がこの分野に狙いを定め、効率的に調査を進めている何よりの証拠です。
海外取引のある企業は、独立した第三者間での取引と同じ価格(独立企業間価格)で取引していることを、文書でしっかりと証明できるように準備しておくことが不可欠です。
こうした「狙われやすいポイント」を日頃から意識し、証拠書類をきちんと整備しておくことこそが、最良の「税務調査準備」と言えるでしょう。もし自社の経理処理に少しでも不安な点があれば、迷わず税理士などの専門家に相談するのが賢明です。P4 MARKETのようなプラットフォームなら、国際税務に詳しい専門家にもスポットで相談できるので、セカンドオピニオンとして活用するのも一つの手です。
調査当日の流れとスマートな対応術
どれだけ入念に準備を重ねても、調査当日の立ち振る舞いひとつで、調査官に与える印象はガラリと変わるものです。必要以上にへりくだる必要はありませんし、かといって変に構えるのも得策ではありません。
大切なのは、落ち着いて、誠実な姿勢で臨むこと。これが、結局は調査をスムーズに進める一番の近道になります。
ここでは、調査当日の典型的な流れを追いながら、経営者や経理担当者が押さえておくべき「スマートな対応術」を具体的に解説していきます。ちょっとしたポイントを知っておくだけで心に余裕が生まれ、余計な指摘を避けることにもつながるはずです。
調査開始:最初の挨拶がその日の空気を作る
調査はだいたい午前10時頃、調査官の来社でスタートします。
まずは経営者、経理責任者、そして顧問税理士が揃って調査官を応接室などへ案内し、挨拶と名刺交換をします。この最初の接触が、その日1日の雰囲気を作ると言っても過言ではありません。
にこやかで丁寧な対応を心がけ、「調査には協力的ですよ」という姿勢を見せることが大切です。ただ、雑談が長引きすぎるのは考えもの。調査官は会社の概況を把握するために質問をしてきますが、これは世間話ではなく、あくまで調査の一環です。事業内容や組織図など、聞かれたことに絞って簡潔に説明しましょう。
調査中:聞かれたことだけに、答える
挨拶と概況のヒアリングが終わると、いよいよ帳簿書類の確認作業が始まります。このときの心構えは、ただ一つ。
「聞かれたことだけに、簡潔に答える」
これに尽きます。良かれと思って補足説明を加えたり、関連する別の話をしてしまったりすると、かえって調査官の興味を引いてしまい、新たな疑問を生む原因になりかねません。
例えば、「この会議費についてですが」と質問されたとします。ここで、「はい、これはA社との打ち合わせです。そういえばB社とも同じような会食がありまして…」なんて話してしまうのは絶対にNG。質問の範囲を超えた情報は、調査の範囲を不必要に広げてしまうリスクしかありません。
もし調査官の質問の意図がわからなかったり、即答が難しかったりした場合は、慌てて答える必要はありません。「確認して後ほど回答します」と伝え、必ず税理士に相談してから対応しましょう。その場しのぎの曖昧な回答が、後で大きな矛盾を生むことはよくある話です。
調査当日の対応チェックリスト
調査当日にやるべきこと、気をつけるべきことをチェックリスト形式でまとめました。当日の朝、最終確認にお役立てください。
| タイミング | チェック項目 | 具体的な行動 |
|---|---|---|
| 調査開始前 | 調査場所の準備 | 業務スペースとは別の静かな会議室などを用意。余計な書類はすべて片付けておく。 |
| 調査開始時 | 挨拶と名刺交換 | 経営者、経理責任者、税理士が揃って丁寧に対応。協力的な姿勢を明確に。 |
| 調査中 | 質問への回答 | 聞かれたことにだけ、簡潔に。不明点は「確認します」と伝え、必ず税理士に相談。 |
| 昼食時 | 調査官への対応 | 調査官は外で昼食をとるのが一般的。こちらから出前の提案などは不要。 |
| 終業時 | 1日の総括 | その日の調査内容や疑問点について調査官から簡単な説明がある。不明点はここで確認。 |
このリストを頭に入れておくだけでも、当日の動きがスムーズになります。
「余計な一言」が命取りに。避けるべきNGワード
調査中の何気ない会話にも、実は落とし穴が潜んでいます。特に、以下のような発言は調査官に不信感を与えかねないため、絶対に避けましょう。
- 「うっかりしていました」
単純なミスだとしても、「うっかり」という言葉は経理体制そのものが杜撰(ずさん)だと認めているようなものです。 - 「前の経理担当者がやったことなので…」
責任転嫁と受け取られ、会社としての管理能力を疑われます。現担当者が責任を持って答えるのが筋です。 - 「このくらいは良いかと思いました」
悪気はなくても、税法を軽視しているという最悪の印象を与えてしまいます。
調査官は会話のプロです。雑談の中から重要な情報を引き出そうとすることもあります。だからこそ、常に税理士を介してコミュニケーションを取るのが最も安全な策と言えるでしょう。
税務調査は、ある意味で心理戦です。当日の対応を専門家である税理士に任せることで、経営者は精神的な負担を大きく減らすことができます。もし顧問税理士がおらず不安な場合は、P4 MARKETのようなプラットフォームで、税務調査の立会い経験が豊富な税理士にスポットで依頼するのも賢い選択です。プロの力を借りて、万全の体制で当日を迎えましょう。
調査官が帰った後が、本当の勝負
税務調査は、調査官が事務所のドアを閉めた瞬間に終わるわけではありません。むしろ、本当の意味での交渉はここから始まります。調査で発覚した問題点について調査官の見解が示され、それに対してどう対応していくか、というプロセスが待っています。
この段階で一番大切なのは、調査官の指摘を鵜呑みにしないこと。「指摘された内容は本当に事実なのか?」「法的な解釈に間違いはないか?」を冷静に見極める必要があります。指摘のすべてを受け入れる必要は全くありません。納得できない点については、税理士を通じてしっかりと根拠を示し、交渉していくことが可能です。
指摘内容を吟味し、交渉のテーブルにつく
調査が終わってしばらくすると、調査官から結果についての連絡が入ります。多くの場合、「調査の結果、こういう問題点がありましたので、修正申告をお願いします」といった電話がかかってくるでしょう。
ここで絶対にやってはいけないのが、その場で安易に返事をしてしまうこと。必ず顧問税理士と内容を共有し、指摘が妥当なものか、反論の余地はないかをじっくりと検討します。もし事実誤認や解釈の違いがあれば、税理士から調査官へ丁寧に説明してもらい、お互いの見解をすり合わせていきます。この交渉次第で、最終的に支払う税額が大きく変わることも珍しくありません。
税務調査後の交渉は、まさに税理士の腕の見せ所です。法律や過去の判例といった専門知識を武器に的確な主張を組み立てることは、納税者の正当な権利を守るために不可欠です。安易に指摘を受け入れる前に、まずは専門家と膝を突き合わせて話す時間を持ちましょう。
「修正申告」と「更正の請求」、何が違う?
調査官の指摘に納得し、納税額を修正する必要が出てきた場合、「修正申告」という手続きを行います。これは、納税者自らが誤りを認めて、正しい税額に訂正するためのものです。
一方で、調査の結果、逆に税金を払い過ぎていたことが判明することもあります。その場合は、「更正の請求」という手続きで、納め過ぎた税金の還付を求めることができます。この二つ、言葉は似ていますが目的は正反対です。
- 修正申告
申告した税額が少なかった場合に、自主的に正しい税額へ修正する手続き。 - 更正の請求
申告した税額が多かった場合に、税務署に税金を返してもらうよう求める手続き。
どちらの手続きを選ぶべきか、あるいは指摘に納得できず不服申し立てに進むべきか。この判断は非常に専門的で、会社の将来を左右することもあります。必ず税理士のアドバイスを仰いでください。
避けては通れない「追徴税額」というペナルティ
修正申告をすると、本来納めるべきだった税金(本税)に加えて、ペナルティとしていくつかの税金が上乗せされます。これらをひっくるめて「追徴税額」と呼びます。
| 追徴税の種類 | どんなときに課される? | どれくらいのペナルティ? |
|---|---|---|
| 過少申告加算税 | 申告額が少なかったことに対するペナルティ | 追加本税の10〜15% |
| 無申告加算税 | そもそも期限内に申告しなかった場合のペナルティ | 納付税額の15〜20% |
| 重加算税 | 意図的な隠蔽や仮装など、悪質と判断された場合の重いペナルティ | 追加本税の35〜40% |
| 延滞税 | 納税が遅れたことに対する利息(年利) | 年2.4%〜8.7%(変動あり) |
なかでも最も避けたいのが「重加算税」です。これが課されると税率が跳ね上がるだけでなく、「悪質な不正を行った会社」というレッテルを貼られることになり、金融機関からの信用低下など、事業そのものに深刻なダメージを与えかねません。
最近の傾向として、国税庁は調査件数自体を絞る一方で、1件あたりの追徴税額は増加しています。令和5事務年度の法人税等の調査では、追徴税額の総額が約3,407億円に達し、前年より6.6%増加したことが発表されました。これは、AIなどを駆使して税務当局がより的を絞った調査を行っている証拠です。もはや「うちみたいな小さい会社は大丈夫だろう」という考えは通用しません。
より詳しいデータは、国税庁が公表している法人税等の調査事績の概要で確認できます。
調査後の対応は、今後の会社の未来を左右する重要な局面です。少しでも疑問や不安を感じたら、P4 MARKETのようなプラットフォームで経験豊富な税理士を探し、セカンドオピニオンを求めるのも一つの賢い選択です。違う視点からアドバイスをもらうことで、思わぬ解決策が見つかるかもしれません。
税務調査の準備、みんなが気になるQ&A
税務調査の準備を進めていると、経営者や経理担当者の方から、決まって同じような質問をいただきます。ここでは、特に多くの方が疑問に思う3つのポイントについて、専門家の視点からかみ砕いてお答えします。
Q1. 税務調査の連絡って、いつ、どんな風に来るの?
「ある日突然、税務署の人がやってくる」ということは、悪質な脱税が疑われる強制調査などを除き、ほとんどありません。任意調査の場合、たいていは調査希望日の2〜3週間ほど前に、担当官から電話で連絡が入ります。これは「事前通知」といい、法律(国税通則法第74条の9)で定められている手続きです。
この一本の電話で、調査の日時や場所、何について調べるのか(法人税、消費税など)、そしてどの期間を対象にするのか(だいたい過去3年分)といった、大事なことが伝えられます。
ただし、これには例外もあります。飲食店や小売店のように、日々現金商売をされている業種だと、ありのままの経営実態を見るために、予告なしに調査官がひょっこり現れる「無予告調査」が行われることもあります。
事前通知の電話を受けたら、まず真っ先にすべきことは顧問税理士への連絡です。ここからの日程調整や対応は、すべて税理士と二人三脚で進めるのが、一番安心で確実な道筋です。
Q2. 個人事業主だけど、自分も調査の対象になる?
はい、もちろんです。個人事業主だからといって、税務調査と無縁というわけではありません。法人に比べると調査の確率は低いかもしれませんが、「自分は大丈夫」という思い込みは禁物です。
特に、次のようなケースは調査官の目に留まりやすいので、注意が必要です。
- 売上が右肩上がりに急増した
- 所得が1,000万円など、ある程度のラインを超えた
- 同業者と比べて、経費の割合がなんだか不自然に高い
- そもそも何年も確定申告をしていない
インボイス制度が始まり、消費税を納めるようになった個人事業主の方は、これから調査のターゲットになりやすくなるとも言われています。日頃からきっちり帳簿をつけ、請求書や領収書といった証拠を整理しておく。これこそが、何よりの防御策になります。
Q3. 税理士にお願いするメリットって、具体的に何?
税務調査の準備から当日の立ち会いまで、税理士に任せるメリットは非常に大きいです。その価値は、主に次の3つの点に集約されるでしょう。
- 先回りした的確な準備ができる: 税務のプロは、調査官がどこに目を光らせるかを知っています。その知見をもとに、あらかじめ問題になりそうなポイントを洗い出し、先回りして対策を打つことができます。
- 当日の精神的なプレッシャーから解放される: 調査当日は、専門家としてあなたの隣に座り、盾となって調査官の質問に対応します。理不尽な指摘や難しい法律の話になっても、的確に反論し、経営者を守る防波堤の役割を果たしてくれます。
- 交渉力で「落としどころ」を探ってくれる: 調査後の交渉や修正申告といった、一番骨の折れる作業まで一任できます。これにより、時間と手間が省けるだけでなく、交渉の結果、最終的に支払う追徴税額を最小限に抑えられる可能性もぐっと高まります。
税務調査の準備や対応に少しでも不安を感じるなら、専門家の力を借りるのが賢明な判断です。P4 MARKETなら、税務調査の経験豊富な税理士に30分単位で気軽にオンライン相談ができます。顧問税理士がいる方のセカンドオピニオンとしても、ぜひご活用ください。
実際に専門家に相談するには
税務調査への対応は、専門的な知識と経験が求められる分野です。「準備の仕方がわからない」「急に通知が来て不安」「顧問税理士以外の意見も聞いてみたい」—そんなときは、経験豊富な税理士に相談することで、的確なアドバイスを得ることができます。
P4 MARKETでは、税務調査対応に精通した税理士が多数登録しています。30分単位のスポット相談から、調査当日の立ち会いまで、あなたのニーズに合わせた形でサポートを受けることが可能です。
本記事は2025年12月3日時点の情報に基づいて作成されています。税制や法律は改正される可能性があるため、実際の判断にあたっては最新の情報を確認するか、税理士などの専門家にご相談ください。本記事の内容によって生じた損害について、当方は一切の責任を負いかねます。