2025-12-07 別居後の生活費、相場はいくら?婚姻費用の計算方法と請求手続きを解説
作成日:2025年12月7日
「別居後の生活費は、一体いくらくらいが相場なんだろう?」と、先の見えない不安を感じてしまいますよね。状況によって金額は大きく異なりますが、一つの目安として、月々10万円から15万円というケースが多く見られます。
もちろん、これはあくまで平均的な話です。夫婦の収入差が小さければ数万円で済むこともありますし、逆にお子さんがいて収入差も大きい場合は、月20万円を超えることも珍しくありません。
この記事では、別居中の生活費である「婚姻費用」の基本的な考え方から、ご自身のケースに合わせた具体的な計算方法、そして実際に請求するためのステップまで、専門的な知識をわかりやすく解説します。
別居生活費(婚姻費用)の相場と法的な考え方
たとえ一緒に住んでいなくても、法律上の夫婦である限り、お互いに「同レベルの生活ができるように助け合う義務」があります。この義務に基づいて、別居中にやり取りされる生活費のことを、法律の世界では「婚姻費用」と呼びます。
基本的には、収入の多い方が少ない方へ支払うことになります。この費用には、家賃や食費といった日々の暮らしにかかるお金だけでなく、医療費や交際費、そしてお子さんがいる場合はその養育にかかる費用もすべて含まれます。
婚姻費用は、単なるお小遣いや情けで渡すお金ではありません。法律で定められた「夫婦の協力扶助義務」という、れっきとした義務なのです。離婚が成立するか、再び同居するまで、この支払い義務(または受け取る権利)は続きます。
この大前提をしっかり押さえておくことが、感情的にならずに話し合いを進めるための第一歩になります。
収入と子どもの有無で金額は大きく変わる
婚姻費用の金額を決める最大のポイントは、夫婦それぞれの収入と、お子さんの人数や年齢です。当然ですが、夫婦の収入差が大きければ大きいほど、支払われる婚姻費用の額も高くなる傾向にあります。
実際に家庭裁判所での調停や審判で決まったケースを見てみると、月額「10万円以上15万円以下」で落ち着くことが最も多いという司法統計データもあります。ただ、これはあくまで全体的な傾向であり、個別の事情で金額は大きく変わってきます。
【ケース別・婚姻費用相場の例】
- 子どもがいない共働きのケース
夫婦の収入があまり変わらないなら、婚姻費用は低めになります。たとえば、お互いに年収600万円くらいなら、月々4万円〜6万円あたりが目安です。 - 専業主婦(主夫)で子どもがいるケース
収入のない側がお子さんの面倒を見ている場合、金額は高くなります。たとえば夫の年収が800万円、妻が専業主婦という場合、お子さんがいなくても12万円〜14万円が相場。お子さんがいれば、そこからさらに上乗せされます。
このように、まずはご自身の家庭の状況を客観的に見つめ直すことが、適正な金額を知る近道です。
生活費の内訳を把握しておくことが交渉の鍵
では、婚姻費用には具体的にどんなものが含まれているのでしょうか?一般的には、暮らしにまつわるあらゆる費用が対象になります。
【婚姻費用に含まれる費用のチェックリスト】
- 住居費:家賃、住宅ローン、管理費など
- 食費:日々の食材や外食の費用
- 水道光熱費:電気、ガス、水道の料金
- 通信費:スマホやインターネットの料金
- 日用品費:トイレットペーパーや洗剤などの消耗品
- 医療費:病院の診察代や薬代
- 教育費:学費、塾や習い事、教材の費用
- その他:衣類、交際費、娯楽費など
別居を考える段階で、こうした項目について「今、毎月いくらかかっているか」を一度書き出してみることを強くおすすめします。そうすることで、別居後に最低限必要な生活費が具体的に見えてきますし、相手と交渉する際や、万が一調停などになった場合にも、自分の主張を裏付けるための強力な材料になります。
婚姻費用と生活費、似ているようで実は違う法的な意味
「別居中の生活費」と聞けば、多くの人が食費や家賃といった日々の暮らしにかかるお金を思い浮かべるかもしれません。しかし、法律の世界ではこれを「婚姻費用」と呼び、もっと広い意味を持つ、夫婦にとって非常に大切な権利であり、同時に義務でもあるのです。
普段何気なく使っている「生活費」という言葉と、法的な「婚姻費用」。この二つの違いをきちんと理解しておくことが、感情的にならず、冷静に話し合いを進めるための最初のステップになります。
婚姻費用は法律で決められた「義務」
婚姻費用とは、夫婦が法的に結婚している間、お互いがこれまでと同じレベルの生活を送れるように、分担し合うべき費用のことです。これは単に「困っているから助け合う」といった思いやりの話ではなく、民法第760条という法律でしっかり定められた義務なのです。
(婚姻費用の分担)
第七百六十条 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。
出典:e-Gov法令検索 民法
ここで言う「婚姻から生ずる費用」には、日々の食費や光熱費はもちろん、医療費、交際費、そして子どもがいるならその学費や習い事代まで、生活を維持していくために必要なあらゆるものが含まれます。たとえ別々に暮らしていても、離婚が成立するまでは夫婦である事実に変わりはないため、この義務は続きます。
収入が多い方が少ない方へ支払うのは、お互いの生活レベルをできるだけ同じに保つという「生活保持義務」に基づいています。
別居で家計を圧迫する「住居費」
別居を始めると、これまで一つ屋根の下で済んでいた住居費が二重にかかることになり、家計への負担が一気に重くなります。特に、どちらかが新たに賃貸物件を借りるとなると、その影響はかなり大きいでしょう。
ある家計調査のデータによれば、単身世帯が支払う家賃は、二人以上の世帯に比べて2倍以上になるという結果も出ています。これは、別居によって新たに住まいを探さなければならなくなった人たちの負担がいかに重いかを物語っています。住居費は別居中の生活費の中でも特に大きなウェイトを占めるため、この現実を踏まえて金額を話し合うことが大切です。
なぜこの法的な違いを知っておくべきか
婚姻費用が法律で定められた義務だと知っておくだけで、「なぜ払わなきゃいけないの?」「なぜこれだけ請求できるの?」という根本的な部分でのすれ違いを防ぐことができます。
- 請求する側:これは自分の正当な権利です。生活を守るために必要な費用を、うしろめたく思うことなく請求できるという自信につながります。
- 支払う側:「払いたくない」という感情で突っぱねるのではなく、法的な義務として冷静に向き合う必要があると理解できます。
この共通の土台があるだけで、感情的なぶつかり合いを避け、建設的な話し合いへの道が開けます。それでも、当事者同士だとなかなか冷静に話せないことも少なくありません。そんなときは、法律の専門家である弁護士に相談するのも賢明な選択です。
算定表を使って、婚姻費用を自分で計算してみよう
別居後の生活費、つまり婚姻費用は、基本的には夫婦の話し合いで自由に決めることができます。しかし、いきなり「いくらが妥当?」と聞かれても、見当もつかないのが正直なところですよね。
そんなときに頼りになるのが、裁判所が公開している「婚姻費用算定表」です。
これは、家庭裁判所の調停や審判でも実際に使われている、いわば「公的な目安」です。これを使えば、誰でも簡単に「別居後の生活費の相場」を自分自身で確かめることができます。専門家に相談する前に、まずはこの算定表でご自身の状況を把握してみましょう。
婚姻費用算定表の基本的な見方
婚姻費用算定表は複雑に見えますが、仕組みはとてもシンプルです。夫婦それぞれの収入と、お子さんの人数・年齢に合わせて、いくつかの表に分かれています。ご自身のケースに合った表を選ぶところからスタートです。
- お子さんの状況で表を選ぶ
- 子どもがいない
- 子ども1人(0〜14歳)
- 子ども1人(15歳以上)
- 子ども2人(例:2人とも0〜14歳)…など
- 夫婦の年収をあてはめる
- 表のタテ軸が義務者(支払う側)、ヨコ軸が権利者(受け取る側)の年収です。
- 会社員か自営業者かで見る欄が違うので注意しましょう。
- タテ軸とヨコ軸が交わるマスを探す
- 自分の年収をタテ軸から、相手の年収をヨコ軸から見つけて、それぞれの線が交差するマスを探します。
- そこに書かれている金額が、月々の婚姻費用の目安になります。
裁判所が公開している最新の「養育費・婚姻費用算定表」は、裁判所のウェブサイトから誰でも確認できます。ご自身の状況に近い表を手元に置いて、読み進めてみてください。
年収を確認するための重要書類
算定表を使うには、まず正確な年収を知る必要があります。会社員か自営業者かで、確認する書類が変わってきます。
- 給与所得者(会社員・公務員など)の場合
一番わかりやすいのが源泉徴収票です。「支払金額」という欄に書かれている金額が、税金などが引かれる前の総収入(額面年収)にあたります。 - 自営業者の場合
確定申告書の「課税される所得金額」が基準になります。ただし、ここから青色申告特別控除など、実際には支出していない経費を足し戻す作業が必要になることもあり、少し複雑です。
もし相手の正確な収入がわからなくても、諦める必要はありません。過去の源泉徴収票や課税証明書、給与明細などからある程度推測することも可能です。
婚姻費用算定表の使い方 3ステップ
算定表を使って婚姻費用を計算するための具体的な手順です。この3ステップに沿って進めれば、誰でも目安の金額を算出できます。
| ステップ | やること | 確認する書類・情報 |
|---|---|---|
| ステップ1 | 正しい算定表を選ぶ | お子さんの人数と年齢(0〜14歳/15歳以上)を確認する |
| ステップ2 | 夫婦それぞれの年収を確認する | 源泉徴収票(給与所得者)または確定申告書(自営業者)を用意する |
| ステップ3 | 表から金額を読み取る | 義務者(支払う側)と権利者(受け取る側)を間違えないように、タテ軸とヨコ軸が交差するマスを見つける |
この3ステップで、まずは婚姻費用の「土台」となる金額が見えてきます。
算定表だけでは判断が難しいケース
とても便利な算定表ですが、あくまで標準的な家庭をモデルに作られているため、万能ではありません。次のような特別な事情がある場合は、算定表の金額に上乗せしたり、調整したりする必要があります。
- 私立学校の学費
公立学校の学費は算定表に含まれていますが、高額な私立の学費は考慮されていません。夫婦の合意がある場合など、状況に応じて加算される可能性があります。 - 高額な医療費
お子さんに持病があるなど、特別な医療費が継続的にかかる場合も、別途考慮されることがあります。 - 住宅ローン
例えば、夫が住宅ローンを支払い、妻と子がその家に住み続ける場合など、住居費の扱いが複雑になるケースも、個別の調整が必要です。
このように、算定表で出てきた金額はあくまでスタートライン。そこから個別の事情をどう反映させるかが、交渉のポイントになります。
具体的な家族構成で生活費をシミュレーションしてみましょう
婚姻費用算定表の基本的な見方がわかったところで、もう少し具体的な家族の形をイメージしながら、実際に別居後の生活費がいくらくらいになるのかを見ていきましょう。
ここでは、よくある3つのケースを物語形式でご紹介します。ご自身の状況と重ね合わせながら読むことで、算定表の数字がぐっと身近に感じられるはずです。
ケース1:子どもがいない共働き夫婦
田中さん夫婦は結婚5年目。夫の拓也さん(35歳・会社員・年収600万円)と妻の美咲さん(33歳・会社員・年収400万円)は、お互いに仕事が忙しく、すれ違いの毎日でした。少し距離を置くために美咲さんが家を出て、拓也さんに生活費(婚姻費用)を請求することに。
この場合、裁判所の「夫婦のみの表」を使います。
- 支払う側(義務者):夫・拓也さん(会社員/年収600万円)
- 受け取る側(権利者):妻・美咲さん(会社員/年収400万円)
算定表のタテ軸「600」とヨコ軸「400」が交わるマスを見てみると、「4〜6万円」と書かれています。これが、拓也さんから美咲さんへ支払われる生活費の目安です。
共働きで収入差がそれほど大きくない場合は、婚姻費用も高額にはなりません。これは「お互いの生活レベルを同程度に保つ」という考え方に基づいて、足りない分を補うようなイメージだからです。
ケース2:専業主婦と未就学の子どもが1人いる場合
佐藤さん一家は、夫の健一さん(40歳・会社員・年収800万円)、専業主婦の由美さん(38歳)、そして長男の翔太くん(4歳)の3人家族です。夫婦関係がこじれてしまい、由美さんが翔太くんを連れて実家に戻る形で別居がスタートしました。
ここで使うのは「子1人表(子0〜14歳)」です。
- 支払う側(義務者):夫・健一さん(会社員/年収800万円)
- 受け取る側(権利者):妻・由美さん(無職/年収0円)と翔太くん
算定表で夫のタテ軸「800」と妻のヨコ軸「0」が交わるマスを探すと、「16〜18万円」という金額が見つかります。
妻側に収入がなく、まだ手のかかる子どもの面倒を見ている状況では、生活費の大部分を夫が支えることになるため、婚姻費用も高めの金額になるわけです。
ケース3:パート主婦と子ども2人(中学生と高校生)の場合
鈴木さん夫婦は、夫の誠さん(48歳・自営業・所得500万円)と、パートで働く妻の和子さん(46歳・年収150万円)。長女(16歳・高校生)と長男(14歳・中学生)の2人の子どもがいます。誠さんの浮気がきっかけで、和子さんが子どもたちを連れて家を出ました。
このケースは少し複雑です。長女が15歳以上、長男が15歳未満なので、「子2人表(第1子15歳以上、第2子0〜14歳)」という算定表を使います。
- 支払う側(義務者):夫・誠さん(自営業/所得500万円)
- 受け取る側(権利者):妻・和子さん(パート/年収150万円)と子ども2人
自営業者である夫のタテ軸「500」と、給与所得者である妻のヨコ軸「150」が交差するマスを確認すると、「14〜16万円」が婚姻費用の目安だとわかります。子どもが2人いて、教育費などもかさむ年頃なので、それなりの金額になります。
もちろん、ここで紹介したシミュレーションはあくまで標準的なモデルです。実際の話し合いでは、家のローンや子どもの特別な事情などを考慮して金額を調整していくことになります。
婚姻費用を請求するための具体的なステップ
算定表でおよその金額がわかっても、相手がすんなり支払いに応じてくれるケースばかりではありません。むしろ、ここからが本番です。どうすれば実際に生活費を確保できるのか、具体的な手続きを順を追って見ていきましょう。感情的な対立を避け、着実に話を進めるためのアクションプランです。
ステップ1:夫婦間での話し合いと合意書の作成
まず試みるべきは、夫婦間での直接の話し合いです。婚姻費用は「法的な義務」だという共通認識を持ち、冷静に話し合うことが重要です。
もし話し合いで金額や支払い方法について合意できたら、必ずその内容を「合意書」という形で書面に残してください。口約束では、後になって「言った」「言わない」の争いになり、支払いが滞るリスクがあります。
ステップ2:話し合いが困難なら「調停」を申し立てる
当人同士では話がまとまらない、あるいは相手が話し合いにすら応じてくれない。そんなときは、家庭裁判所に「婚姻費用分担請求調停」を申し立てるのが次の手です。
調停は、裁判のように白黒つける場所ではなく、あくまで話し合いでの解決を目指す手続きです。裁判官と調停委員が間に入るため、当事者同士が直接顔を合わせずに済み、冷静に話し合いを進めやすいという大きなメリットがあります。
重要ポイント
婚姻費用は、原則として「請求の意思を示したとき」からが支払いの対象になります。別居開始日に自動的に遡るわけではありません。
そのため、「話し合いは難しそう…」と感じたら、できるだけ早く内容証明郵便で請求書を送るか、調停を申し立てることが、あなたが受け取れるはずの金額を最大限確保するために何より重要になります。
調停の申立てに必要な書類と手続きの流れ
調停の申立ては、書類さえ揃えれば自分一人でもできます。相手の住所地を管轄する家庭裁判所に、以下の書類を提出しましょう。
- 申立書:裁判所のウェブサイトから書式をダウンロードできます。
- 夫婦の戸籍謄本:本籍地の役所で取得します。
- 双方の収入に関する資料:源泉徴収票や確定申告書のコピーなど。
申立てが受理されると、約1ヶ月後に第1回の調停期日が決まり、相手方に「呼出状」が送られます。その後は1ヶ月に1回程度のペースで調停が開かれ、合意を目指して話し合いを重ねていくことになります。
交渉を有利に進めるための「証拠」
話し合いでも調停でも、あなたの主張を裏付け、交渉を有利に進める大きな力になるのが、客観的な証拠です。次のような資料を、できる限り準備しておきましょう。
- 収入が分かる資料:給与明細書、源泉徴収票、課税証明書、確定申告書など
- 生活費の内訳が分かる資料:家計簿、レシート、クレジットカードの明細、家賃の契約書、住宅ローンの返済予定表、子どもの学費の領収書など
これらの手続きは一人でも進められますが、書類の準備や法的な主張には専門知識が必要です。「一人で進めるのは不安…」「相手との交渉で精神的に疲れてしまった」と感じるなら、弁護士のような専門家に相談するのが賢明な判断です。
話し合いがうまくいかない…そんなときの解決策
別居後の生活費は、単なるお金の計算だけでは終わりません。これまでの夫婦としての時間や、そこにあった様々な感情が複雑に絡み合ってくるため、当事者だけで冷静に話し合うのは、想像以上に難しいものです。
「相手がまったく話し合いに応じてくれない」
「提示された金額が、どう考えても算定表の相場より低すぎる…」
「そもそもDVやモラハラがあったので、相手と顔を合わせるのが怖い」
こんな風に、一人で抱え込んで無理に交渉しようとすると、精神的にどんどん追い詰められてしまいます。そんなときは、専門家の力を借りるという選択肢を思い出してください。
弁護士に相談するタイミングはいつ?
夫婦間の問題、特に婚姻費用のようなお金の話がこじれてしまったとき、法律のプロである弁護士に相談することで、停滞していた状況が大きく動き出すことがあります。
【弁護士への相談を検討すべき状況チェックリスト】
- 相手が話し合いを拒否している
- 相手から提示された金額に納得できない
- 相手の収入が不明確で、金額の算出が困難
- 相手との直接のやり取りが精神的に辛い
- 調停や審判などの法的手続きを検討している
弁護士に依頼するメリットは、法的に有利に進めることだけではありません。何より大きいのは、相手と直接やり取りするストレスから解放されること。「精神的な負担が驚くほど軽くなった」とおっしゃる方は、本当に多いのです。
問題がこじれて心も体も疲れ果ててしまう前に、適切なサポートを受けること。それが、あなたの新しい生活を守るための、とても大切な一歩になります。
別居の生活費、みんなが気になるQ&A
ここまで、別居後の生活費(婚姻費用)の基本的な考え方や相場、請求の流れなどを解説してきました。最後に、多くの方がつまずきやすい具体的な疑問について、Q&A形式でスッキリ解決していきましょう。
Q1. 相手の正確な年収が分からない…どうすれば?
「相手が源泉徴収票を見せてくれない!」これは本当によくあるケースです。でも、諦める必要は全くありません。
まずは、手元にある過去の資料を探してみましょう。以前の給与明細や源泉徴収票のコピーはありませんか?それが見つからなくても、市区町村の役所で取得できる課税証明書から、おおよその年収を割り出すことができます。
それでも情報がない場合、家庭裁判所の調停を申し立てるという方法もあります。調停の場では、裁判所から相手に収入資料を提出するよう促してもらえますし、「調査嘱託」や「文書提出命令」といった法的な手続きを使って開示を求めることも可能です。証拠がなくても、打つ手はあります。まずは専門家に相談してみましょう。
Q2. 婚姻費用は、いつからいつまでもらえるの?
これは非常に重要なポイントです。うっかりしていると、もらえるはずだったお金を逃してしまうかもしれません。
請求できる期間
原則として、「婚姻費用をください、と請求の意思を示したとき」から「離婚が成立する、または再び同居を始めるまで」です。
一番の注意点は、「別居を始めた日に自動的にさかのぼって請求できるわけではない」ということです。「別居したんだから払ってくれるだろう」と待っているだけではダメなのです。
だからこそ、別居したらできるだけ早く、内容証明郵便で請求書を送ったり、家庭裁判所に調停を申し立てたりといった具体的な行動を起こすことが、受け取れる金額を最大限にするためのカギになります。
Q3. 住宅ローンが残っている家の生活費はどうなる?
この問題はケースバイケースで、計算が少し複雑になります。例えば、夫が家を出て、妻と子どもがその家に住み続け、夫が住宅ローンを支払い続ける、というよくあるパターンで考えてみましょう。
この場合、夫は「自分が今住んでいる家の家賃」と「家族が住む家の住宅ローン」を二重で支払っている状態です。これは負担が大きすぎるため、算定表どおりの婚姻費用から、妻が本来負担すべきだった家賃に相当する金額が差し引かれるのが一般的です。
ただ、この「差し引かれる金額」をどう計算するかは簡単ではありません。状況によって大きく変わるため、専門家のアドバイスが必須と言えるでしょう。
Q4. もし相手が自己破産したら、もう払ってもらえない?
「相手が自己破産したから、もう生活費はもらえないんだ…」と絶望する必要はありません。
実は、婚姻費用や養育費といった家族を支えるためのお金は、法律上「非免責債権」という特別な扱いの債務です。これは、簡単に言うと「自己破産しても支払い義務はなくなりませんよ」という、非常に強力な権利なのです。
ですから、たとえ相手が自己破産の手続きをしても、婚姻費用を支払う義務はなくなりません。もし未払い分があれば、堂々と請求し続けることができます。
別居や離婚にまつわるお金の問題は、法律の知識が必要なだけでなく、当事者同士の感情的なもつれも絡み合い、一人で解決するのは本当に大変です。「相手と話が全く通じない」「私の場合は、いったいいくらになるの?」と少しでも感じたら、専門家の力を借りるのが一番の近道です。
実際に専門家に相談するには
婚姻費用の計算や請求は、法律の知識が必要なだけでなく、感情的な対立も絡むため一人で進めるのは大変です。
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本記事は2025年12月7日時点の情報に基づいて作成されています。税制や法律は改正される可能性があるため、実際の判断にあたっては最新の情報を確認するか、税理士などの専門家にご相談ください。本記事の内容によって生じた損害について、当方は一切の責任を負いかねます。