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2025-12-14 通関料の勘定科目を徹底解説!輸入ビジネスの仕訳と会計処理

作成日:2025年12月14日

通関料の勘定科目イメージ

輸入ビジネスを営む上で必ず発生する「通関料」。この費用をどの勘定科目で処理すべきか、迷った経験はありませんか?会計処理の方法は主に2つあり、どちらを選択するかによって企業の利益計算にも影響を及ぼします。一般的には「支払手数料」として費用計上するか、「仕入」に含めて資産計上するかのいずれかで処理します。

この記事では、通関料の正しい会計処理方法や仕訳例、税務調査で指摘されないための実務ポイントを、初心者にも分かりやすく解説します。

通関料の会計処理、2つのアプローチ

海外から商品を輸入する際、税関での手続きは不可欠です。この複雑な手続きを代行する通関業者へ支払うサービス料が「通関料」です。

この費用を帳簿に記録する際、企業の会計方針によって処理方法が異なります。具体的には、発生した事業年度の経費としてシンプルに処理するか、商品の取得原価に含めて資産計上するか、という2つの選択肢があります。

アプローチ1:シンプルに「支払手数料」として処理する

一つ目の方法は、通関料を「支払手数料」として、販売費及び一般管理費(販管費)で処理する方法です。

この方法の最大のメリットは、その「シンプルさ」にあります。費用が発生した都度、経費として計上するだけなので、日々の記帳作業が容易になります。特に、輸入の頻度が少ない、あるいは通関料の金額が事業全体に与える影響が小さい中小企業にとっては、実用的な方法といえるでしょう。

アプローチ2:より正確に「仕入原価」に含める

もう一つの方法は、通関料を商品の「仕入」の一部、つまり取得原価に含めて資産(棚卸資産)として計上する方法です。

これは、「商品が販売可能な状態になるまでにかかった付随費用は、すべて商品の原価に含めるべきだ」という企業会計の原則に基づいた考え方です。商品の購入代金だけでなく、国際運賃や保険料、そして通関料もすべて含めて商品の仕入原価を構成します。

この方法のメリットは、商品の原価をより正確に把握できる点です。正確な原価が分かれば、適切な販売価格の設定や精度の高い利益管理が可能になります。継続的に輸入ビジネスを展開し、厳密な原価管理を重視する企業には、こちらの方法が適しています。

会計処理には重要なルールがあります。それは、一度採用した会計処理の方法は、正当な理由がない限り毎期継続して適用するという「継続性の原則」です。処理方法を頻繁に変更すると、年度ごとの業績比較が困難になり、経営判断を誤る原因となりかねません。

どちらの方法が自社に適しているか、それぞれのメリット・デメリットを比較して慎重に検討しましょう。

通関料の会計処理アプローチ比較

通関料を「仕入原価」に含める場合と「販売費及び一般管理費(支払手数料)」で処理する場合のメリット・デメリットを比較します。

処理方法 メリット デメリット どのような企業に向いているか
販管費(支払手数料) ・会計処理がシンプルで簡単 ・正確な商品原価の把握が難しい ・輸入の頻度が少ない企業
・通関料の金額が小さい企業
仕入原価に算入 ・正確な原価計算が可能になる
・利益管理の精度が向上する
・原価計算や在庫管理が複雑になる ・継続的に輸入を行う企業
・原価管理を重視する企業

どちらの勘定科目を選ぶかは、企業の事業規模や管理方針によって異なります。経理業務の効率を優先するか、原価管理の正確性を追求するか、自社の状況に合わせて最適な方法を選びましょう。

もし判断に迷う場合は、顧問税理士などの専門家に相談し、自社のビジネスモデルに合った会計方針を決定することが最も確実です。

通関料の請求書、その内訳と会計上の意味を読み解く

通関業者からの請求書には、「通関料」という項目だけが記載されていることは稀です。通常は、関税や輸入消費税など、複数の費用項目が並んでいます。ここで注意したいのは、これらの費用を安易に一括で処理してしまうことです。これは、税務上の誤りを引き起こす典型的な落とし穴です。

重要なのは、請求書の各項目が会計上どのような性質を持つかを理解し、それぞれに適した通関料の勘定科目へ仕訳することです。一見複雑に見える請求書も、項目ごとに分解して考えれば、正しく処理できます。

請求書によく登場する費用の顔ぶれ

通関業者からの請求書に含まれる主な費用項目を見ていきましょう。それぞれの性質が異なるため、会計処理も変わってきます。

  • 関税
    海外から商品を輸入する際に国へ納める税金です。会計上は、商品の仕入れに付随して発生する費用として扱われるため、一般的に「仕入」勘定に含めて資産として計上します。
  • 輸入消費税
    商品代金と関税の合計額などに対して課される消費税です。国内での仕入れと同様に考え、「仮払消費税等」として処理するのが基本です。
  • 通関料(通関手数料)
    通関業者が税関への申告手続きを代行したことに対するサービス料です。これは純粋な手数料なので、「支払手数料」のような販売費及び一般管理費(販管費)の科目で費用処理します。(※前述の通り、仕入原価に含める処理も可能です。)
  • 立替手数料・取扱手数料
    通関業者が関税や消費税を一時的に立て替えた際に発生することがある手数料です。これもサービスへの対価であるため、「支払手数料」として処理するのが一般的です。

このように、一枚の請求書には「税金(関税・消費税)」と「業者への手数料」という、性質の異なる費用が混在しています。これらを正確に区別することが、正しい会計処理の第一歩です。

なぜ、わざわざ費用を区別する必要があるのか?

費用項目を一つひとつ正しく区別することは、税金の計算に直接影響するため、非常に重要です。

例えば、関税額は、商品価格(Cost)、保険料(Insurance)、運賃(Freight)を合計したCIF価格に関税率を掛けて計算される「従価税」が一般的です。こうした税金と、通関業者へ支払う手数料を会計上で混同すると、消費税の仕入税額控除の計算を誤るリスクが高まります。

特に重要な点は、関税は消費税の課税対象外である一方、通関手数料は課税対象であるという違いです。もしこれらを合算して処理すると、本来控除できるはずの消費税額を過少に申告して納税額が増えたり、逆に過大に申告して後日税務署から指摘を受けたりする可能性があります。

正確な経理は、適正な納税と健全なキャッシュフローの基盤です。この一手間が、結果的に会社を守ることにつながるのです。

具体的な仕訳例で学ぶ通関料の会計処理

理論を理解したところで、次は実際の数字を使った仕訳例を見ていきましょう。会計は、具体的な取引を仕訳に落とし込むことで、より深く理解できます。

ここでは、商品を海外から輸入し、通関業者へ費用を支払うまでの一連の流れをシンプルなケースで解説します。特に、通関料を「仕入(原価)」に含めるパターンと、「支払手数料(販管費)」として経費処理するパターンの2つを比較し、それぞれの違いを明確にします。

今回の仕訳で使う取引の前提

まず、仕訳例の基となる取引内容を整理します。

  • 商品代金: 1,000,000円
  • 関税: 50,000円
  • 輸入消費税: 84,000円
  • 通関料: 22,000円(うち消費税 2,000円)

この数字を用いて、2つのシナリオを見ていきましょう。

シナリオ1:通関料を「仕入原価」に含める仕訳

この方法は、「商品が手元に届くまでに直接かかった費用は、すべて商品の価値(原価)の一部」と捉える考え方です。より正確な原価管理を重視する企業に適しています。

ステップ1:商品の仕入を計上する

まず、海外の取引先から商品を仕入れたタイミングで、その代金を計上します。これはどちらのシナリオでも共通の処理です。

勘定科目(借方) 金額 勘定科目(貸方) 金額
仕入 1,000,000円 買掛金 1,000,000円

ステップ2:通関業者へ費用を支払う

次に、通関業者からの請求書に基づき費用を支払います。ここがポイントで、関税と通関料(税抜)の両方を「仕入」勘定に上乗せします。

勘定科目(借方) 金額 勘定科目(貸方) 金額
仕入 70,000円 現金預金 156,000円
仮払消費税等 86,000円

仕訳のポイント解説

  • 借方の「仕入」70,000円は、関税(50,000円)と通関料の本体価格(20,000円)の合計額です。
  • これにより、この商品の取得原価は、元の商品代金と合わせて合計 1,070,000円 として管理されます。
  • 「仮払消費税等」86,000円は、輸入消費税(84,000円)と通関料にかかる消費税(2,000円)を合計したものです。

この処理方法のメリットは、商品の原価がより実態に近くなり、利益管理の精度が向上することです。

シナリオ2:通関料を「支払手数料(販管費)」で処理する仕訳

こちらは、会計処理の簡便性を重視する場合に用いられる方法です。通関料を、発生した事業年度の経費として処理します。

ステップ1:商品の仕入を計上する

商品の仕入計上は、シナリオ1と全く同じです。

勘定科目(借方) 金額 勘定科目(貸方) 金額
仕入 1,000,000円 買掛金 1,000,000円

ステップ2:通関業者へ費用を支払う

違いが現れるのは、通関業者への支払い時です。通関料を「支払手数料」という独立した費用科目で処理します。

勘定科目(借方) 金額 勘定科目(貸方) 金額
仕入 50,000円 現金預金 156,000円
支払手数料 20,000円
仮払消費税等 86,000円

この場合、商品の取得原価は商品代金と関税を合わせた 1,050,000円 となります。通関料の20,000円は、損益計算書の「販売費及び一般管理費」の区分に費用として計上されます。

シナリオ別 通関料の仕訳パターン比較

ここまで見てきた2つのシナリオを、表で比較してみましょう。通関業者への支払いタイミングで、仕訳がどう変わるかが一目でわかります。

取引のタイミング 仕入原価に算入する場合(借方/貸方) 販管費で処理する場合(借方/貸方)
通関業者への支払い時 仕入 70,000円
仮払消費税等 86,000円
/ 現金預金 156,000円
仕入 50,000円
支払手数料 20,000円
仮払消費税等 86,000円
/ 現金預金 156,000円

どちらを選ぶかによって、売上原価と販管費の内訳が変わり、結果として売上総利益や営業利益の額に影響します。どちらの通関料勘定科目が自社の実態に合っているかを判断し、一度決定したルールは継続して適用することが重要です。

税務調査で指摘されない!経理担当者が押さえるべき実務ポイント

通関料の会計処理は、単に仕訳を行うだけでなく、税務調査などの観点からも適切な対応が求められます。特に、消費税の取り扱いと証拠書類の保管は、後々のトラブルを避けるために不可欠なポイントです。

消費税の課税・不課税を正しく区別する

通関業者からの請求書には、消費税がかかる費用と、かからない費用が混在しています。これらを正確に区別することが、正しい消費税申告(仕入税額控除)の第一歩です。

  • 消費税がかかる費用(課税対象): 通関業者へ支払う通関手数料や、国内での運送料などが該当します。これらは役務の提供への対価であり、消費税の課税対象です。
  • 消費税がかからない費用(不課税・非課税対象): 国に納める関税は税金そのものであるため、消費税はかかりません(不課税)。

これらの費用をまとめて処理してしまうと、仕入税額控除の計算を誤り、納税額に影響が出る可能性があります。請求書の内訳を必ず確認し、費用ごとに勘定科目を分けて仕訳する習慣をつけましょう。

例えば、関税50,000円と通関手数料22,000円(うち消費税2,000円)を、まとめて「仕入高 72,000円」として処理した場合、通関手数料に含まれる消費税2,000円が仕入税額控除から漏れてしまい、その分、消費税の納税額が増えてしまう可能性があります。

証拠書類は「セットで保管」が鉄則

税務調査では、取引の事実を客観的に証明できる「証憑(しょうひょう)」が最も重視されます。通関料の処理に関しては、以下の書類を必ずセットで、法律で定められた期間保管する義務があります。

  1. 通関業者からの請求書: インボイス制度導入後は、これが適格請求書の要件を満たしているかを確認することが必須です。この請求書が、通関手数料などに含まれる消費税を仕入税額控除するための要件となります。
  2. 税関発行の「輸入許可通知書」: この書類は、納税した関税や輸入消費税の額を証明する公的な書類です。請求書に記載された金額と照合し、正確性を確認するために不可欠です。

これらの書類は、法人税法において原則7年間の保存が義務付けられています。電子データで受領した場合は、電子帳簿保存法のルールに従って保存する必要がありますので、社内の運用ルールを確立しておきましょう。

会計処理や書類の保管方法に少しでも不安があれば、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。P4 MARKETのようなプラットフォームを活用すれば、輸入ビジネスに詳しい専門家をオンラインで手軽に見つけることができます。

会計処理の「これでいいのかな?」は、専門家に相談するサインかも

事業が成長し、取引が複雑化するにつれて、経理上の判断に迷う場面は増えていきます。特に輸入ビジネスのように、専門知識が求められる分野ではなおさらです。

例えば、複数の国から多品目を仕入れるようになったり、EPA(経済連携協定)を利用して関税の減免を受けたりする場合、通関料の勘定科目だけでなく、税務上の有利不利を判断するための専門知識が必要になります。

どんな時に専門家の力を借りるべき?

もし、以下のような課題に直面しているなら、専門家への相談を検討する良いタイミングかもしれません。

  • 初めての輸入で、会計処理や書類整理の全体像が掴めない
  • 過去に税務調査で指摘を受け、再発防止のために万全な体制を構築したい
  • 取引の増加に伴い、経理業務が属人化しており、標準化されたルールを整備したい

これらは多くの経営者が直面する課題です。放置すると、意図せず税務上のリスクを抱えたり、享受できるはずのメリットを逃したりする可能性があります。

税理士などの専門家は、単に仕訳の正解を教えてくれるだけでなく、企業の状況に合わせた節税対策、資金繰りの改善、バックオフィス業務の効率化まで、経営のパートナーとして幅広くサポートしてくれます。

頼れるパートナーはどうやって見つける?

税理士や公認会計士のサポートは、経営者が事業に専念するための強力な支えとなります。しかし、「どの専門家に相談すれば良いかわからない」という方も多いでしょう。

そのような場合は、P4 MARKETのようなプラットフォームで専門家を探すのも有効な手段です。輸入ビジネスや国際税務に精通した専門家を、オンラインで手軽に見つけることができます。

まずは自社の課題を整理し、信頼できる専門家に相談してみることから始めてはいかがでしょうか。初回相談などを活用するだけでも、課題解決に向けた大きな一歩となるはずです。

通関料の勘定科目、現場の「?」にお答えします

輸入ビジネスの経理実務では、「これはどう処理すれば良いのだろう?」と迷う場面が少なくありません。ここでは、経理担当者からよく寄せられる質問をQ&A形式でまとめました。

Q1. 金額も小さいし、通関料を「雑費」で処理しちゃダメ?

結論として、金額がごく僅かで、経営上の重要性が低い場合は、「雑費」で処理すること自体は会計ルール上許容されています。

しかし、輸入を事業の柱としている企業には、この方法は推奨できません。なぜなら、取引の実態が不明瞭になり、適切な原価管理が困難になるためです。

正確な原価計算は、適正な販売価格を設定し、利益を確保するための生命線です。そのためにも、「支払手数料」のように、費用の内容が明確にわかる勘定科目で管理することが望ましいでしょう。

Q2. 個人事業主なんだけど、法人の経理と同じ考え方でいい?

はい、基本的な考え方は法人と全く同じです。

個人事業主の場合も、通関料を「支払手数料」として経費計上するか、「仕入高」に含めて売上原価として計上するかを選択します。

最も重要なのは、法人と同様に「継続性の原則」を守ることです。一度採用した処理方法を毎年のように変更すると、年度ごとの正確な損益比較ができなくなるため注意が必要です。

Q3. 通関業者から届いた請求書、どこをチェックすればいい?

請求書を受け取ったら、合計金額だけでなく、以下の内訳が正しく記載されているかを必ず確認しましょう。

  • 関税: 国に納める税金(消費税は不課税)。
  • 輸入消費税: 税関に納める消費税。「仮払消費税等」で処理。
  • 通関手数料: 通関業者へのサービス料(消費税の課税対象)。
  • 立替費用: 立替の内容によって課税・非課税が異なる。

この確認作業は、消費税の仕入税額控除を正しく計算するために不可欠です。消費税の課税対象となる費用(通関手数料など)と、対象外の費用(関税など)を正確に区分して処理することが重要です。

Q4. 電子帳簿保存法って、うちも対応しないとダメ?

はい、2024年1月から電子取引データの電子保存が全ての事業者で義務化されたため、対応は必須です。

通関業者から請求書や輸入許可通知書をPDFなどの電子データで受け取った場合、それは電子取引データに該当し、電子帳簿保存法の要件に従って保存する義務があります。紙で受け取った書類をスキャンして電子保存する場合も、「スキャナ保存」の要件を満たす必要があります。詳細は国税庁のウェブサイトで最新情報を確認し、社内体制を整備することが不可欠です。


会計や税務の判断に少しでも不安を感じたら、専門家に相談することが最も確実で効率的な解決策です。

P4 MARKETでは、輸入ビジネスや国際税務に強い税理士をオンラインで簡単に見つけることができます。30分単位でのスポット相談も可能なため、「この点だけ確認したい」というニーズにも対応できます。専門家のアドバイスを得て、安心して事業を推進しましょう。

本記事は2025年12月14日時点の情報に基づいて作成されています。税制や法律は改正される可能性があるため、実際の判断にあたっては最新の情報を確認するか、税理士などの専門家にご相談ください。本記事の内容によって生じた損害について、当方は一切の責任を負いかねます。