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2025-12-24 ETC料金の勘定科目は?仕訳からインボイス制度まで解説

作成日: 2025年12月24日

ETC通過車両、請求書、会計帳簿、現金、電卓など、経理処理のイメージイラスト。

ETC料金の経費処理で使う勘定科目は、結論から言うと「旅費交通費」が最も一般的で分かりやすい選択です。

高速道路の料金は「事業目的の移動にかかった費用」であり、交通費の一部として管理するのが最も合理的だからです。もし社内で特別なルールがなければ、まずは「旅費交通費」を基本として処理すれば間違いありません。

この記事では、ETC料金の基本的な会計処理から、2023年10月に始まったインボイス制度への対応、さらには経理担当者が見落としがちな注意点まで、実務に沿って分かりやすく解説します。

ETC料金の勘定科目は「旅費交通費」が基本

事業で車を使うならETCは不可欠ですが、いざ経理処理をするとなると、「この料金はどの勘定科目にすべきか?」と迷うことがあります。

多くの企業では、ETC料金を「旅費交通費」として計上しています。旅費交通費は、従業員が出張や営業などで移動した際にかかる交通費や宿泊費をまとめる科目です。ETC料金もこの「業務上の移動コスト」の一つと考えるのが、実務上最もスムーズです。

なぜ旅費交通費が最適なのか

旅費交通費で処理する最大のメリットは、費用の目的が誰の目にも明らかなことです。決算書や試算表を見たときに、「営業活動や出張で、これくらいの交通コストがかかった」と一目で把握できます。

もちろん、会社の運用ルールによっては他の勘定科目を選ぶことも可能です。

ETC料金の勘定科目 選択肢比較表

ETC料金の処理で使われる主な勘定科目と、それぞれの科目がどのようなケースに適しているかをまとめました。

勘定科目 内容 メリット 適しているケース
旅費交通費 業務上の移動に伴う交通費。電車代や航空券代と同じ区分。 費用内容が直感的で、最も一般的な処理方法。 営業や出張など、従業員の移動が多い一般的な企業。
車両費 車両の維持・管理にかかる費用全般。ガソリン代、車検代など。 車関連の費用を一元管理できる。 社用車を複数台保有し、車両コストをまとめて把握したい企業。
通信費 無線通信を利用した費用。電話代やインターネット料金など。 ETCが無線技術である点に着目した処理。技術的な側面を重視する場合。 あまり一般的ではないため、特別な理由がない限り推奨されません。
支払手数料 サービス利用の手数料。振込手数料など。 カード会社への支払いという側面を強調する処理。 ETCの利用をサービス手数料と捉える場合。非常にまれなケース。

どの科目を選ぶべきか?重要なのは「継続性」

どの勘定科目を選ぶかは、基本的には会社の自由です。ただし、会計処理で最も重要な原則の一つが「継続性の原則」です。

これは「一度採用した会計処理の原則及び手続は、正当な理由により変更を行う場合を除いて、毎期継続して適用しなければならない」というルールです。これにより、年度ごとの財務状況を正しく比較できるようになり、経営者や投資家が適切な判断を下せるようになります。この原則は、企業会計原則の一般原則として定められています。

つまり、「今年は旅費交通費にしたけれど、来年は車両費にしよう」といった安易な変更は認められません。方針を頻繁に変えると、税務調査で変更理由を問われる可能性もあります。自社の管理スタイルに合った勘定科目を一つ選び、それを使い続けることが鉄則です。

初心者でもわかるETC料金の具体的な仕訳方法

勘定科目を「旅費交通費」と決めたら、次は具体的な仕訳です。ETCの経費処理は2つのタイミングに分けて考えるのがポイントです。

それは、①高速道路を「利用した日」と、②後日口座から「引き落とされた日」です。

これは「発生主義」という会計の基本ルールに基づいています。お金が動いたタイミング(引き落とし日)ではなく、サービスを利用して費用が「発生した」時点(利用日)で記録するという考え方です。この一手間が、会社の財政状態をより正確に把握することにつながります。

① ETC利用時の仕訳

営業車で高速道路を利用し、ETC料金が1,500円だったとします。この時点では、まだ銀行口座からお金は引き落とされていません。

しかし、会計上は「経費が発生し、後で支払う義務が生まれた」と記録します。この「後で支払う義務」を帳簿につける際に使うのが「未払金」という勘定科目です。

【仕訳例】高速道路を利用したとき

借方 金額 貸方 金額
旅費交通費 1,500円 未払金 1,500円

この仕訳は、「旅費交通費という費用が1,500円発生(借方)し、同時にカード会社への支払義務(未払金)が1,500円増えた(貸方)」ことを意味します。

② 口座引き落とし時の仕訳

後日、クレジットカード会社から請求があり、指定の普通預金口座から利用料金がまとめて引き落とされました。

ここで、先に計上した「未払金」を精算します。

【仕訳例】クレジットカードの引き落としがあったとき

借方 金額 貸方 金額
未払金 1,500円 普通預金 1,500円

この仕訳は、「未払金という支払義務が1,500円なくなり(借方)、その代わりに会社の普通預金が1,500円減った(貸方)」というお金の動きを表しています。

このように2段階で処理することで、「いつ、何のために費用を使ったか」と「その支払いがいつ完了したか」を明確に区別でき、月ごとの費用を正確に把握できます。

もし、こうした日々の仕訳や会計の基本ルールに不安を感じる場合は、税理士のような専門家に相談するのも一つの方法です。たとえばP4 MARKETのようなプラットフォームを活用すれば、会計のプロにオンラインで気軽に相談し、自社の経理体制について的確なアドバイスを受けられます。

ETC料金を経費にするための必要書類と保存方法

ETCは料金所で領収書が出ないため、「経費の証拠はどうすればいいのか?」と疑問に思う方もいるでしょう。

ETC料金を経費として認めてもらうには、領収書の代わりに「利用証明書」「利用明細書」が必要です。クレジットカード会社から毎月届く請求明細書だけでは、税法上の要件を満たさない場合があるため注意が必要です。

税務調査で「この支払いは本当に事業のためか?」と問われた際に、客観的な証拠として提示できるよう、高速道路会社が発行する公式な書類を保存することが重要です。

ETC利用照会サービスで証明書を取得する

利用証明書や利用明細書は、高速道路会社が共同で運営する「ETC利用照会サービス」で取得するのが最も手軽で確実です。

ETC利用照会サービスは、無料で登録でき、過去15か月分の走行明細を確認・ダウンロードできる便利なオンラインサービスです。インボイス制度への対応という観点からも、現在ではこのサービスの利用が必須となっています。

このサービスを活用すれば、経費精算のたびに書類を探す手間がなくなり、経理業務の効率化につながります。

書類の取得から保存までの3ステップ

ETC利用照会サービスの利用方法は非常にシンプルです。

  1. アカウント登録
    「ETC利用照会サービス」の公式サイトにアクセスし、新規ユーザー登録を行います。登録にはETCカード番号、過去の利用年月日、車載器管理番号などが必要になるため、事前に準備しておくとスムーズです。
  2. 利用明細をダウンロード
    ログイン後、必要な期間の利用明細を表示させます。データはPDFやCSV形式でダウンロードでき、会計ソフトへの取り込みや電子データとしての保存に便利です。
  3. 電子データとして保存する
    ダウンロードした利用明細は、電子帳簿保存法のルールに従って保存します。例えばファイル名を「202405_ETC利用明細」のように日付と内容がわかるように統一し、いつでも検索・表示できる状態で保管することが求められます。

この流れを社内で確立しておけば、領収書がなくてもETC料金を経費として適切に処理できます。

インボイス制度で変わった!ETC経費精算の新ルール

2023年10月に開始されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)は、ETC料金の経費処理にも大きな影響を与えました。

消費税の仕入税額控除を受けるためには、制度の要件を満たした「適格請求書(インボイス)」の保存が必須です。ETC利用の場合、このインボイスの役割を果たすのが「インボイス対応の利用証明書」です。

従来の利用明細やクレジットカードの請求書だけでは、仕入税額控除の要件を満たせません。この対応を怠ると、支払った消費税分を控除できず、結果的に納税額が増えてしまう可能性があります。

インボイス対応の利用証明書の入手方法

インボイス制度に対応したETC利用証明書は、前述の「ETC利用照会サービス」から簡単にダウンロードできます。

【入手手順】

  1. 「ETC利用照会サービス」にログインします。
  2. 利用明細の画面で、「インボイス」や「適格請求書」と表示された出力ボタンを選択します。
  3. 発行された証明書(PDFなど)をダウンロードし、電子帳簿保存法のルールに従って保存します。

重要なのは、証明書に高速道路事業者の「登録番号」が記載されているかを確認することです。この番号があって初めて、その書類はインボイスとして認められます。

社用車が多い場合の対応策

営業車やトラックなど、多数の社用車でETCを利用している企業にとって、一台ずつ証明書をダウンロードするのは大きな負担です。

そのような場合は、ETCコーポレートカードETCフレックスカードといった法人向けサービスが役立ちます。これらのサービスでは、全車両の利用明細をインボイス対応形式で一括ダウンロードできる機能が提供されていることが多く、経理業務を大幅に効率化できます。

例えば、NEXCO3社(東/中/西日本高速道路株式会社)が提供する大口・多頻度割引制度では、専用サイトから一括でインボイスを取得できます。

インボイス制度への対応に不安がある場合や、自社に最適な経理フローがわからない場合は、税理士に相談することをお勧めします。P4 MARKETのようなプラットフォームでは、インボイス制度に詳しい専門家を簡単に見つけ、具体的なアドバイスを受けることができます。

ETC処理の注意点:経理担当者が見落としがちなポイント

日々のETC経費処理には、思わぬ「落とし穴」が潜んでいます。特に、プライベート利用との区別や、割引・ポイントの扱いは注意が必要です。処理を誤ると、税務調査で指摘を受け、追徴課税などのペナルティにつながる可能性もあります。

事業利用と個人利用が混在している

個人事業主や、経営者が会社の車を私的にも利用する場合、ETC料金の全額を経費にすることはできません。

この場合、客観的な基準で「家事按分(かじあんぶん)」する必要があります。例えば、走行記録や運転日報をもとに「事業利用7割、個人利用3割」のように、税務署に説明できる根拠を用意し、事業で使った分だけを「旅費交通費」として計上します。

「割引前の金額」で処理している

ETCには深夜割引や休日割引などがありますが、経費として計上すべきなのは、割引が適用された「後」の金額です。帳簿には、割引前の正規料金ではなく、実際にカード会社から請求される割引後の支払額を記載します。
利用明細には割引情報が明記されているため、必ず最終的な請求額を確認しましょう。

ETCマイレージポイントを使ったときの処理

貯まったETCマイレージポイントで高速道路料金を支払った場合、そのポイント利用分は経費にはなりません。現金の支出を伴わないためです。

会計処理としては、ポイント利用分を「雑収入」として計上するか、支払経費から直接差し引く(値引きとして処理する)方法があります。いずれにしても、会社の資産(ポイント)を利用した経済的利益として、適切に処理する必要があります。

経費処理のセルフチェックリスト

日々の業務で、以下のような誤りがないか確認してみましょう。

  • 個人的な利用分を経費に含めていないか?
  • 割引前の料金で記帳していないか?
  • ETCマイレージポイントで支払った分を経費として計上していないか?
  • 証拠書類として、インボイス対応の利用証明書を保存しているか?

もし一つでも当てはまる項目があれば、処理方法の見直しが必要です。複雑な按分計算や特殊なケースで判断に迷う場合は、税理士のような専門家に相談するのが最も確実です。

まとめ:ETCの勘定科目は原則「旅費交通費」。迷ったら専門家に相談を

ETC料金の勘定科目は「旅費交通費」として処理するのが基本です。仕訳は「利用日」と「引き落とし日」の2段階で行い、インボイス制度に対応した「利用証明書」を保存することが重要です。

ポイント 詳細
勘定科目 原則として「旅費交通費」が最適。
仕訳 利用日に「未払金」で計上し、引き落とし日に精算する。
証拠書類 「ETC利用照会サービス」からインボイス対応の利用証明書をダウンロード・保存する。
注意点 プライベート利用との按分割引後の金額での計上、ポイント利用の処理に気をつける。

日々の経理業務において、「このケースはどう処理すれば良いのだろう?」と判断に迷う場面は必ず出てきます。特に、運送業のように車両経費が事業の根幹をなす場合や、多数の社用車を管理している場合は、より専門的な判断が求められます。

自己判断で処理を続けることに不安を感じるなら、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。専門家への相談は、税務リスクを回避するだけでなく、経理業務を効率化するための有効な「投資」です。

本記事は2025年12月24日時点の情報に基づいて作成されています。税制や法律は改正される可能性があるため、実際の判断にあたっては最新の情報を確認するか、税理士などの専門家にご相談ください。本記事の内容によって生じた損害について、当方は一切の責任を負いかねます。